ドイツ1部Bミュンヘンへ移籍するG大阪MF宇佐美貴史(19)が、万博練習場で号泣した。13日の神戸戦(万博)が移籍前最後の試合。14日にドイツへ渡るため、12日がG大阪最後の練習だった。ジュニアユースから過ごした「至宝」の姿を目に焼き付けようと、集まったサポーターは約1000人。見学者全員と別れのハイタッチを終えると笑顔から一転、うずくまり、涙が止まらなくなった。

 「平日なのに、あんなに来てくれて…。練習場に入って横断幕を見たときから涙が出そうになった。我慢しながらだったけど、最後はちょっと、耐えられなかったですね」。

 01年にアーセナルへ移籍したMF稲本(現川崎F)も06年にDF宮本(現神戸)がザルツブルクへ移った時も、ともに最後の練習は約600人が見守った。夕方の練習に、朝から駆けつけたファンはクラブ史上最多。感謝の思いに包まれた宇佐美の両目は、ロッカールームから出てきても腫れていた。

 Bミュンヘンでの背番号は「14」に決まった。それでも、新天地への思いはしまい込んで、ラストマッチに臨む。「試合中泣いちゃうかもしれませんけどね。デビュー戦とか大きいところで決めてきてるし、運が巡ってくれば。あわよくば得点したいですね」。恩返しの「惜別ゴール」で世界へ旅立つ。【近間康隆】