【ドーハ(カタール)4日】日本(FIFAランキング24位)は5日午後6時(日本時間6日午前0時)、決勝トーナメント1回戦でクロアチア(同12位)と対戦する。1次リーグ突破の殊勲者となったMF堂安律(24=フライブルク)が歴史を刻む。得点すれば日本代表史上初の1大会3ゴールに到達する。W杯優勝を公言してきた強心臓は、強豪撃破の1発を再現し、日本を史上初の8強へ導く。

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堂安が、手がつけられないオーラを放ち出した。3日、国際サッカー連盟(FIFA)が1次リーグデータを発表。計120得点のシュートの最高時速で、堂安のスペイン戦のゴールが120・04キロで2位に入った。ドイツ戦のゴールは「ごっつぁん」という外野の声を悪魔の左足でかき消した。逆境をはね返すことでさらに強さを増す。堂安らしい一発だった。

今大会すでに2得点。途中出場ながらドイツ戦は出場4分、スペイン戦は同3分でゴールを決めた。日本代表で輝きを放つ1人となった。24歳は3日の取材対応で「2点取ったことも忘れてトレーニングしている」と、すでに次のゴールを欲していると語った。

クロアチアは大黒柱の37歳MFモドリッチに注目が集まるが、若い守備陣も屈強だ。センターバックのDFグバルディオルらによる堅い守りは厄介。堂安は「すばらしいタレント」と守備陣について力を認めつつも「ゴールをこじ開けるのは真ん中だけじゃない。サイドを攻略するチャンスはある」と自らも関わっての崩しに自信を見せた。

苦しい経験がW杯で生きている。オランダの強豪PSV時代にはベンチを温める時間が増えた。そこでくさらず、短い時間でも出番で結果を残すためのコンディショニングを繰り返した。「選手としては控えは本望ではないけれど、準備で感覚はつかめている」。

目指すのは日本初のベスト8ではなく優勝だ。「冗談抜きで目指している」。短時間で実績を重ねたビッグマウスの言葉には期待させるものがある。スペイン戦後には自身のツイッターを更新し「優勝するよ!!」と宣言した。

決勝トーナメント1回戦の相手は、前回大会準優勝のクロアチア。得点すれば史上初の1大会3得点に到達する。ただ、ドイツとスペインのゴールを破った男の視線は、記録よりも結果だけに向けられている。「ベスト16の壁を越える思いの方が強い。全員が燃えている。体を投げ捨ててでも戦う覚悟はできている。これほど勝ちたいと思うことはないし、歴史を変えたい」。いま、26人の中で誰よりもゴールの雰囲気をまとっている。【岡崎悠利】