10年大会以来の優勝を目指したスペインが、2大会連続でPK戦で姿を消した。モロッコと対戦し、0-0のまま延長戦でも決着せず。前回18年大会の決勝トーナメント(T)初戦も開催国ロシアにPK戦で敗れて8強を逃し、ルイスエンリケ監督(52)はW杯前にPKの1000本特訓の指示を出していたが、3人全員が失敗した。W杯でスペインのPK戦は5度目で最多4敗目(1勝)。E組は日本に続き、スペインもPK戦で大会を去った。

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スペインにとっては、まさかの結末になった。決勝T初戦は決定力に欠き4年前と同じくPK戦へ。延長後半終了間際、PK戦を見越して投入したパリ・サンジェルマンのFWサラビアを1人目として送り出した。左足のキックは右のポストをたたく。2人目のソレル、百戦錬磨のはずの3人目の34歳MFブスケツは連続でモロッコGKブヌに止められた。3人全員のキックが読まれ、4人目の出番が訪れることなく敗れた。

10年大会の覇者はPK戦にめっぽう弱い。86年メキシコ大会準々決勝でベルギーに敗れて以降、W杯最多に並ぶ5度目で1勝4敗。ルイスエンリケ監督は「W杯まで所属クラブで最低1000本のPK練習をしておくように」と異例の特訓指令を出していた。“1000本ノック”ならぬ“1000本PK”も実らず。蹴る順番を決めた同監督は「私に責任がある。またPK戦が始まったとしても同じ選手を選ぶ」と話した。

支配率77%と圧倒。リズミカルなパスワークは見ている者を魅了するが、1次リーグで日本に敗れたように決定力は見劣りする。この日のモロッコ戦も枠内シュートは2本だけ。PKを外したサラビアは延長後半ロスタイム、左クロスを角度のない位置から右足ダイレクトで合わせたが、反対側のポストをかすめた。数少ない決定機を演出し同監督は「不公平なことをした。もっと出場時間を与えるべきだった」と悔やんだ。

ブスケツはDFセルヒオラモスらと並ぶ同国のW杯最多17試合出場を達成。10年優勝メンバーはそれ以降、8強すら届かず、無言のままスタジアムを去った。