【ドーハ(カタール)9日】勝利の歓喜に沸いた直後、クロアチアの主将、MFルカ・モドリッチ(37=レアル・マドリード)は、涙にくれるブラジルの選手たちのもとへ歩み寄った。

FWネイマールをハグし、続けてFWロドリゴ(21=レアル・マドリード)を抱き締めた。そしてそのまま、語りかけた。「ロドリゴに『誰もがPKを失敗する』と言って励ました。僕はユーロ2008のトルコ戦でPKを失敗したのを覚えている」。そこには勝者と敗者の垣根はなかった。

試合は後半に入りブラジルペース。延長前半ロスタイムにFWネイマールが先制ゴールを決め、一気に勢いが傾いたかに見えたが、諦めないクロアチアはこの日も強かった。

延長後半12分の土壇場にFWペトコビッチのゴールで同点に追い付くと、そのままPK戦へ。クロアチアは1人目がきっちり決めた一方で、ブラジルの1人目、ロドリゴがGKの好セーブに阻まれた。その後、クロアチアは4人全員が決めたが、ブラジルは4人目のDFマルキーニョスがゴールポストに当てて外し、勝敗が決した。

モドリッチは優しく、ロドリゴをなだめるように語りかけた。08年の欧州選手権・トルコ戦。クロアチアは延長後半に先制ゴールを奪うも、同ロスタイムに追いつかれてPK戦に。モドリッチと2人が外し、涙をのんだ。

レアル・マドリードでともに戦う16歳下の仲間の気持ちが、痛いほど分かったのだろう。「簡単ではないが、この経験は彼を強くするだろう」。かつて経験した自身のように、乗り越えてくれることを願っていた。