3月も半ばを過ぎ、日本代表MF久保建英(20)のスペイン3季目もあと2カ月で終わりを告げる。今季はマジョルカ加入後、即座にルイス・ガルシア監督の信頼を勝ち取りレギュラーの座を掴むも、昨年9月に保有元のレアル・マドリード戦で右膝に全治2カ月の重傷を負い、キャリア初のつらい経験をした。しかし今は完全復活を果たし、定位置確保に成功している。
その状況下、14日にRマドリードとの新たな一戦を迎えた。久保が保有元のクラブとの試合に出場するのは19年夏の加入後、通算6度目。これまでの戦いを振り返ってみると、スペイン初年度となったマジョルカでは2試合に出場。ホームの初戦は後半14分からピッチに入り、チームはラゴ・ジュニオルの得点により1-0の大金星を挙げた。続くアウェーの2戦目は0-2で敗れるも、久保はフル出場してハイパフォーマンスを披露し、スペイン各紙に高評価を受けていた。
出場機会に苦しんだ2季目の前半戦、ビリャレアルに所属してRマドリードと3回目の対戦をホームで迎え、結果は1-1のドロー。久保の出番は後半44分からだったため、特に何もアピールできなかった。
出場機会を求めてヘタフェに移籍した昨季後半戦、新型コロナウイルスの影響で延期されたアウェーゲームの後半10分にピッチへ入るがチームは0-2で敗れ、久保に対するスペイン各紙の評価は最低の0点と厳しいものとなった。さらにその次のホームゲームでは、ヘタフェが残留争いの最中でボルダラス監督が保守的な戦いをしたため、久保は初めて90分間ベンチを温めることになった。
そしてマジョルカ復帰後の今季前半戦のアウェーゲーム、久保はRマドリード戦2回目の先発出場を果たすが、ハーフタイムに負傷交代を余儀なくされ、チームも1-6の惨敗を喫していた。
続く6度目となった今回の対戦前、シーズンが終わりに近づいていること、そして保有元のクラブに自分の実力を直接示す絶好の機会だったため、久保に大きな注目が集まり、来季のRマドリード復帰の可能性を示唆する報道も出ていた。
そんな中、久保は普段と違う不慣れな左サイドハーフで先発起用されたが、リーグ首位を独走し、欧州チャンピオンズリーグ準々決勝進出を決めているチームの壁はやはり厚かった。マジョルカは前半、無失点に抑えて健闘するも、最終的にチームの実力差が顕著に出て0-3で敗れ5連敗を喫し、久保にとっても厳しいものになった。
久保は前半、守備に追われながらもカウンターの機会をうかがい、ドリブルを仕掛けてバルベルデのイエローカードを誘発し、同18分にシュートチャンスが訪れたが枠に飛ばせなかった。一方、後半は完全にRマドリードにゲームを支配され、押し込まれる展開となった。そんな中、前半同様、守備に奔走した久保はわずかなチャンスでマッチアップしたルーカスからイエローカードを引き出すも、クロスは精度を欠いて決定機を演出できず、同33分に李康仁(イ・ガンイン)との交代を余儀なくされた。久保のRマドリード戦の通算成績は6試合(先発3試合)1勝1分け4敗、0得点0アシストとなっている。
久保が来季復帰に向け、Rマドリードに十分なアピールができたとは言い難かったかに思えたが、スペインのラジオ局カデナ・コペで長年、Rマドリードの番記者を務めるミゲル・アンヘル・ディアス氏は試合後、「今日は慣れない左サイドでのプレーだったが、久保が主導権を握りルーカスを苦しめた」と難しい状況にもかかわらず、クラブ随一のユーティリティープレーヤーを個の能力で上回った点を高く評価した。
続いて今季を通じてのパフォーマンスについては「怪我があったため少し難しい状況になっていたが、少しずつ本来の姿を取り戻している」とポジティブな見解を示している。
一方、来季のRマドリード復帰の可能性については「前提として、現時点ではEU圏外枠の問題がある。まだビニシウスにスペイン国籍取得の許可が下りていないからね。今季限りで何人かの選手が退団することになり、例えばイスコは契約が満了し、出番のないセバージョスも移籍する可能性が高いため、久保の居場所はRマドリードにあるかもしれない。でも現時点で復帰は不可能であり、まだどうなるか分からない。とにかくEU圏外枠の問題が解決されることが最優先だ」と実力以前の問題があり、不透明な状況が続いていることを強調した。
現在、EU圏外の3枠はビニシウス、ロドリゴ、ミリトンのブラジル代表勢で占められている。この中で他の2人よりも1年早い20年にスペイン国籍取得の手続きを開始したビニシウスだが、新型コロナウイルスの影響を受けまだ結果が出ていない。一方、久保のRマドリードとの契約は24年6月30日までであり、今夏で残り2年を切る。
久保の今季のリーグ戦成績は19試合(先発15試合)、1250分出場、1得点0アシスト。解決されていない問題があり、残留争いというチームの苦しい状況があるため全く簡単なことではないが、来季Rマドリードに復帰するためにはルイス・ガルシア監督に度々求められているゴールの課題を少しずつクリアしていき、目に見える数字を伸ばしていくことも重要な要素になってくるだろう。そのため今季も残りあと10試合と少なくなっているが、2季前に見せたような追い上げに期待したい。【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)






