【13日(日本時間14日)=ゲルゼンキルヘン(ドイツ)中野吉之伴通信員】鹿島からブンデスリーガの強豪シャルケに完全移籍した日本代表DF内田篤人(22)が入団会見直後、いきなり練習試合に先発出場した。5部のEKBシュバルツ・バイス・エッセン戦に右サイドバック(SB)で前半の45分間プレー。シュートを2本放ち、マガト監督から期待される「攻撃参加」に応えてみせた。昨季までの右SBのレギュラー、ラフィーニャにビッグクラブ移籍の可能性があり、開幕スタメンへの期待もふくらんだ。

 入団会見から数時間。ピッチに出た内田は、同僚にポジションにつくようにうながされ、初めて練習試合の先発メンバーに入ったことを知った。右サイドバックの定位置確保へいきなりのテスト。キックオフ直後から右サイドを駆け上がって、MFファルファンのスルーパスに反応してみせた。身体面での強さを発揮する相手に強引に体を入れられ、ボールを奪われる場面もあったが、ひるまなかった。前半終了間際にも再びスルーパスに抜け出し、GKと1対1の場面もつくった。ループ気味のシュートは惜しくもゴール左に外れたが、前半だけで2本のシュートを放った。

 前日12日にドイツ入りし、この日の午前練習に参加。その後、メディカルチェック、記者会見と過酷な日程だった。内田も「初めての試合では、こんなものかな。午前中の練習もあって、思ったより足が動かなかった。間違いなく厳しい練習。でも、この練習を続けていけば強くなれると思う」と手応えを感じていた。

 チームには不動の右SBのラフィーニャがいるが、欧州各国のクラブから獲得の標的にされている。マガト監督も前日会見で「ラフィーニャほどのポテンシャルがあれば今後、他のビッグクラブからのオファーが来ることも十分にあり得る。右SBの補強が必要だった。内田を獲得できてよかった」と話した。ラフィーニャ移籍後の後任として内田は大きな期待を背負っている。

 マガト監督の「日本で見せた右SBの位置から攻撃に貢献する姿をドイツでも見せてほしい」という言葉を内田は胸に刻んでいる。前半の2本のシュートは、ボルフスブルク監督時代にMF長谷部を育てた名将の期待への返答だった。最初の目標でもある定位置奪取へ、意義ある第1歩を踏み出した。

 [2010年7月15日10時28分

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