【ナッシュビル(米国)22日(日本時間23日)】日本の守護神が連続完封を狙う。日本代表GK鈴木彩艶(23=パルマ)は、1次リーグ(L)第2戦のチュニジア戦で4-0の無失点勝利を達成。決勝トーナメント(T)進出に前進した。25日の最終戦スウェーデン戦(ダラス)では、強力攻撃陣を封じ込める覚悟を示す。W杯で日本が2戦連続完封となれば、02年日韓大会以来6大会ぶり。190センチ、100キロの大型GKが、W杯でまたゼロを刻む。
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頭一つ抜けていた。鈴木彩はチュニジア戦でW杯初完封を達成。2日後、取材エリアで多くの記者に囲まれた。「最終的にゼロで抑えられたことは評価できる」と3大会ぶり無失点を誇った。金髪頭を飛び出させながら、次戦の質問に真っすぐ答える。「攻撃陣が強烈。より難しい試合が想定されるので準備をしっかりしたい」。25日の1次L最終戦を真っすぐ見据えた。
20日に行われた第2戦。枠内シュートはゼロ。年上のDF陣を動かし、決定機をつくらせなかった。日本7度目の完封。過去に楢崎正剛、川口能活、川島永嗣の3人。レジェンドGKたちと同じ「無失点」の称号を得た。肩を並べても、身長は並んでいない。過去のGKは180センチ台。自身は190センチ、100キロ。体格がW杯でも武器になった。
ガーナ人の父、日本人の母のもとに生まれた。「ザイオン」は聖書に登場する聖なる丘「Zion」に由来。小学生時代からずっとGKグローブをつけていたほど“守護神”に憧れた。浦和一筋で育ち、23年にベルギーへ移籍。プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドからオファーを受けながらも、地に足をつけて欧州へ渡った。
24年7月にセリエAのパルマへ移籍。守備が評価される国で、定位置をつかんだ。順調だった今季、大男が“女児”になった。昨年11月のACミラン戦。左手を複雑骨折。小学1年の女子児童平均の握力8キロまで落ち、ペットボトルのふたを開けることすら苦労した。しかしW杯シーズンに重傷を負っても、心は折れなかった。「全然落ち込んでいない。3、4カ月で戻れるし」とリハビリに専念。パンパンに腫れた左手を食事中にも動かし、感覚を戻した。今年3月に実戦復帰し、W杯に間に合わせた。
かつて国際大会で苦しんだ。24年1月のアジア杯。5試合で先発出場したが準々決勝敗退。捕球に苦戦し、全試合で失点を喫した。もう、その姿はない。チュニジア戦はクロスに果敢に飛び込み、ハイボールを次々キャッチ。「クロス対応は間違っていなかった。継続したい」と収穫を得た。
次戦は難敵がゴールを襲ってくる。スウェーデンのFWイサク(リバプール)とヨケレス(アーセナル)。世界トップクラスのストライカーが攻め込んでくる。「シュートを狙う場所でなくても、狙ってくる」と警戒。「データはそこまで入れない。世界レベルの選手は何をするか分からない。相手どうこうより準備し続ける」と自己流で対策した。アジア杯準々決勝後、代表出場試合で17連続負けなし。W杯連続完封となれば、02年日韓大会の第2戦ロシア戦、第3戦チュニジア戦以来となる。この男が守れば、日本のゴールが小さく見える。【飯岡大暉】
◆日本のW杯での完封 チュニジア戦が7度目で、4勝3分け(PK負け1)。初零封は02年日韓大会の1次L第2戦でロシアに1-0。第3戦チュニジア戦は2-0で、GK楢崎が2戦連続完封勝ちに導いた。06年ドイツ大会1次L第2戦のクロアチア戦は、GK川口がゴールを守り0-0。10年南アフリカ大会は川島が正GKを務め、初戦でカメルーンに1-0で勝利。決勝T1回戦でパラグアイに0-0で記録上は引き分けだがPK戦で敗退。14年ブラジル大会第2戦ギリシャ戦も川島が出場し0-0。18、22年は完封がなく、今回のチュニジア戦が3大会ぶりの完封となった。


