[ 2014年2月20日9時13分

 紙面から ]三浦校長(中央)はクラーク記念国際高校の生徒たちと一緒に、竹内のメダル獲得を喜ぶ

 ソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転で銀メダルを獲得した竹内智香(30=広島ガス)に、エベレスト賞だ!

 北海道深川市の竹内の母校・クラーク記念国際高校では、冒険家で昨年80歳の史上最年長でエベレスト登頂を果たした校長の三浦雄一郎さん(81)が、特別賞の「エベレスト賞」を授与することを決めた。また三浦校長は4年後にスキーで滑降予定のヒマラヤの山に竹内を帯同するプランも披露。生徒約150人と、同校初のメダリスト誕生の感動に浸った。

 メダルが確定し、竹内が両手を挙げたと同時に、三浦校長と生徒たちもガッツポーズした。地元深川市や関東から集まった約150人の生徒の大歓声とともに、クラッカーも鳴った。

 「彼女からは武士道を感じる。死をおそれず敵に立ち向かう。心が強い」

 昨年80歳でエベレストに登頂した母校の校長が、涙をうっすら浮かべて竹内の滑りを絶賛した。

 竹内は高2の時に公立校から練習時間の多く取れる通信制の同校に転校。深川の山の中腹にある宿泊施設で、部員10人と共同生活を送った。夏は学校までの約10キロの道を自転車で往復。冬は裏山の深川スキー場で技術を磨いた。ソルトレークシティー五輪に高3で出場。理科の授業を担当した山口敬二郎教諭(40)は「成績はよく、集中力は人一倍あった」と振り返る。

 同校は不登校で転校してくる生徒も多いが、通学時にはそうした生徒とも積極的に交流した。元副校長の小林茂教育顧問(72)は「どんな事情のある生徒とも仲良くしていました。彼女の頑張りが周囲に与える影響は大きかった」という。そんな竹内のメダル獲得に三浦校長は「特別にエベレスト賞を渡します」と話した。

 「五輪が終わって時間ができたら、一緒に滑りに行きたい」と三浦校長。冒険家として世界6位の高さを誇るヒマラヤのチョーオユーの頂上から滑ることを4年後の目標としており、竹内を「同行させることも検討します」と話した。さらに「(ジャンプの)葛西選手のようにまだまだ頑張るはず」と、プロジェクターに映る教え子の雄姿に、目を細めた。【中島洋尚】