[ 2014年2月21日11時13分

 紙面から ]スノーボード女子パラレル大回転の表彰式で、銀メダルを手に笑顔の竹内(共同)

 竹内が「先生」になる。ソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転で銀メダルを獲得した竹内智香(30=広島ガス)に、母校・クラーク記念国際高が特別授業の講師を要請することが20日、分かった。同校では授業に向けて竹内の半生が書かれたテキストを作成。36都道府県に50以上あるキャンパスを本人が直接回り、生徒に夢を持つことの大切さなどを伝える。

 「じ~ん生ラクありゃ、苦もあるさ~♪」を地でいく竹内が、印籠代わりにメダルを持って、黄門様のように全国を駆け回る。歓喜から一夜明けた20日、母校では早くも帰国後のメダリストを「先生」として迎える準備を開始した。全国のクラーク記念国際高校をまとめる創志学園運営統括部の大塚敏弘部長は「早速ですが、日程調整を始めました。シーズン終了後の4月以降に、生徒の前に立ってもらいたい」と、プランを明かした。

 授業では半生をつづった教科書代わりのテキストが使われる。高校3年でソルトレークシティー五輪に出場も、過去3大会は入賞なし。1人でスイスのナショナルチームに頭を下げ、遠征や合宿に同行。独学でドイツ語も身に付け、技術を高めた。そして銀メダル獲得…。全国で約1万人の生徒たちが、そんなテキストを机の上に広げ、本人から「竹内智香」を学ぶ。

 「竹内さんのここまでの人生は、クラーク高校の掲げる“夢・挑戦・達成”の目標に通じるものがあります」と大塚部長。同校は、これまでも昨年5月に80歳の世界最年長でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎校長(81)の足跡を学ぶ授業を実施。三浦校長自身が生徒の前で語る冒険秘話は、同校の看板でもある。卒業生の竹内が、2人目の生ける手本となる。

 同校は通信制でキャンパスは北海道では深川、旭川、札幌のほか、全国に50カ所以上あり、竹内の帰国後、両者で日程を調整した上で、訪問できる学校をしぼってスタートさせる予定だ。高校時代の竹内を指導した山口敬二郎教諭(40)も「高校生の時から前に立って話すのは抜群にうまかった。メダルもとり、最高の授業になるはず」と期待を寄せる。「涙の後には、に~じも出る~♪」のような、夢をかなえる授業科目“トモ科”を、竹内先生が開講する。【中島洋尚】