東海大が2時間11分59秒で10年ぶり4度目の優勝を飾った。高校で活躍した黄金世代といわれる2年生中心に、6人中4人が区間賞を奪取。2位青学大に1分半の大差をつけ完勝した。優勝候補だった青学大の3連覇と、2年連続の大学駅伝3冠を阻止。アンカーを志願し、最終6区で区間賞を獲得した関颯人(2年)は「これから東海大時代を築きたい」と宣言した。

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 追う者の姿は見えない。最終6区。残り500メートルで、東海大2年の関はサングラスを外し、1段ギアを上げた。昨年6区で青学大に逆転された悔しさからアンカーを志願した関。安定した走りで最後は独走態勢を整える。「暑さで苦しかったが、仲間がつないでくれたから」と、青学大を1分33秒差と圧倒してゴールテープを切った。

 1区から2年の阪口がトップでタスキをつなぐ。2区も2年館沢が首位をキープ。3区の2年松尾は逆転されたが首位青学大に5秒差を保つ。青学大とのマッチレースとなった4区は2年鬼塚が区間賞の走りで突き放す。5区では唯一の3年三上も区間賞。アンカーの2年関までに十分な貯金をため、完勝につなげた。

 高校時代に活躍した選手が集結する2年生。入学時から黄金世代と呼ばれた。昨年度も青学大の対抗馬として期待されたが、出雲3位、全日本7位、箱根10位と優勝を逃した。悔しさはあったが、ショックは引きずらない。チームには「駅伝が終着点ではない」との共通認識があるからだ。

 就任7年目の両角速(はやし)監督(51)。全国制覇した佐久長聖高監督時代から五輪、世界選手権で戦える選手をつくることを主に置く。「日本独特の駅伝だけでは井の中の蛙(かわず)」と、2月には関、鬼塚、阪口の2年生トリオを米オレゴン州に2カ月間の武者修行に出した。7月には欧州遠征、8月下旬から米フラグスタッフの高地合宿も体験させた。

 海外経験を経た関は「陸上への価値観が変わった。日本だと駅伝、駅伝だが、海外で勝負するにはスピードが必要。箱根駅伝中心ではなく、個々の人間が将来、トラック、マラソンで活躍したいと思っている」と話す。意識改革した黄金世代の2年生らが個の力を高めた結果の優勝だった。【田口潤】

 

 【区間1位記録】

▽1区(8キロ)

阪口竜平(東海大)23分16秒

▽2区(5・8キロ)

田村和希(青学大)15分47秒=区間新

▽3区(8・5キロ)

塩尻和也(順 大)24分17秒

▽4区(6・2キロ)

鬼塚翔太(東海大)18分12秒

▽5区(6・4キロ)

三上嵩斗(東海大)19分15秒

▽6区(10・2キロ)

関 颯人(東海大)29分58秒