陸上のダイヤモンドリーグ開幕戦のドーハ2018が4日、カタールの首都ドーハで開催される。男子走り高跳びのムタス・エッサ・バルシム(26=カタール)ら、6種目で昨年のロンドン世界陸上金メダリストがエントリーした。男子やり投げと女子棒高跳びではメダリスト3人がいきなり激突する。

 男子やり投げで90メートルアーチの応酬が見られるかもしれない。

 ロンドン世界陸上金メダルのヨハネス・フェッター(25=ドイツ)らメダリスト3人に加え、リオ五輪優勝のトーマス・レーラー(26=ドイツ)、北京世界陸上を制したジュリアス・イエゴ(29=ケニア)もエントリーしている。つまり過去3年間の五輪&世界陸上金メダリスト3人が対決する。

 1年前のドーハ大会ではレーラーが93メートル90の世界歴代2位(当時)を投げ、“レーラー時代”の到来かと思われた。だが7月にフェッターが94メートル44を投げて歴代2位記録を塗り替え、8月の世界陸上でも上位4選手が88~89メートル台の激戦を制した。

 イエゴも北京世界陸上優勝時に92メートル72と当時の世界歴代3位(現歴代5位)を投げ、2位に4メートル近い大差で圧勝した実績を持つ。

 やり投げ史上90メートル台を2人が投げ合ったことは過去4回あるが、ドーハで実現すればダイヤモンドリーグでは初めての快挙になる。

 女子棒高跳びではカテリーナ・ステファニディ(28=ギリシャ)とサンディ・モリス(25=米国)の対決が興味深い。

 昨年まで5メートル00の世界歴代2位を持つモリスが記録では上でも、リオ五輪、ロンドン世界陸上連続金メダルのステファニディが勝負では勝ち続けてきた。昨年も屋外では、ステファニディがモリスに対して7戦全勝である。

 ところが今年3月の世界室内選手権にモリスが4メートル95で優勝し、4メートル80のステファニディに13カ月ぶりに勝利した。

 ドーハはそのとき以来の対決。モリスが連勝すれば、女子棒高跳びの対決の構図に変化が生じることになる。

 男子200メートルはリオ五輪銀メダルのアンドレ・ドグラス(23=カナダ)と、ロンドン世界陸上金メダルのラミル・グリエフ(27=トルコ)の対決に、引退したウサイン・ボルト(ジャマイカ)を介した因縁がある。

 ドグラスはリオ五輪で200メートル2位に加えて100メートルでも3位。“ポスト・ボルト”の最有力候補だったが、ボルトの引退レースとなる昨年の世界陸上をケガで欠場を余儀なくされた。脚に不安があったボルトも個人種目は100メートルに絞った。ボルト不在ではあったが、その大会の200メートルに優勝したのがグリエフだった。

 ドグラスはグリエフに勝つことで、“ポスト・ボルト”候補の一番手だった実力をアピールすることになる。

 ◆ダイヤモンドリーグ IAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、一昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。昨年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、来年の世界陸上への出場権が得られる。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。