日本陸連は25日、五輪や世界選手権の選考レースだった、びわ湖毎日マラソンについて、来年2月28日の第76回大会で終了すると発表した。22年度以降は大阪市内を走る大阪マラソンと統合する。

1946年に始まり、幾多の名勝負を生んだ日本最古の主要マラソンが終了する理由は?

近年のマラソンには、大きく2つの特徴がある。「(1)タイムの高速化」、「(2)大規模市民マラソン化」。その流れが加速する中、大会の運営が難しい状況になり、再編に至った。

(1)タイムの高速化

厚底シューズの登場、トレーニングの進歩などの要因もあって、近年のマラソンはタイムの高速化が進む。2010年は2時間3分59秒だった世界記録は今や、2時間1分39秒。条件次第では2時間切りも視野に入っている。日本でも大迫傑(29=ナイキ)の日本新2時間5分29秒も含め、上位10傑中、7人は過去3年以内に誕生している。

高速化の波が生まれていた17年に時期の近い、東京マラソンが17年にコースを変更。平たんでタイムが出やすくなり、びわ湖毎日の立場は暗転した。18年に設楽悠太(29=ホンダ)が、20年に大迫が日本新を更新したように、好タイムを狙うトップランナーは、東京に出る流れが定着した。結果的に、びわ湖毎日はエリートランナーだけの大会ながら、目玉となりうる選手の足は遠のいた。

(2)大規模市民マラソン化

もう1つの特徴として、市民マラソンの大規模化がある。もちろん大会に出るには出場料があるから、出場するランナーの数は多いほど、大会は多くの収入を得ることができる。出場者が多ければ、スポンサーも集めやすい側面もある。ちなみに東京は3万8000人、大阪は3万5000人の定員だ。

しかし、びわ湖毎日は大規模市民マラソンに舵を切ることはできなかった。日本陸連は「コースの交通事情を中心に大規模市民マラソン化は極めて難しく、長年にわたる大会の歴史を継続・発展させ、マラソン界の活性化を図るには大阪マラソンとの統合が最善との判断に至りました」と説明した。大規模な市民マラソンの実施には、大きな道路、安全性を担保できるインフラが必要。地方都市では、それが困難だった。

主催である毎日新聞の丸山昌宏社長は「大阪に会場を移す22年2月は、毎日新聞にとって創刊150年の節目でもあります。びわ湖で刻んだ歴史と培った知見を引き継ぎ、大阪と関西の更なる発展に寄与したいと思います。大きな潜在力を持つ二つの大会が融合することで、新たな大会が国内のみならず、世界有数の大会に成長することを確信しています」とコメントしている。