「松坂世代」「マー君世代」のように、大豊作の世代は「○○世代」と呼ばれるようになる。陸上長距離界の大卒1年目の世代も、そんな事になるかもしれない。

来年元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の記者会見が30日、オンラインで行われた。大卒ルーキー2人の言葉が頼もしかった。

4日の日本選手権1万メートルで、東京五輪の参加標準記録を突破する日本歴代2位の27分25秒73をマークし、今回は4区を走る伊藤達彦(ホンダ)は「同学年にライバルがいるのは自分も熱くなるし、負けたくない」。春に東京国際大を卒業したばかりの22歳は「確実に自分よりも先にマラソンに挑戦をしていて、強いわけですから、区間は違うが、力の違いを見せたい」と話した。

その隣に座っていたのが、すでに2度のマラソンを経験し、6日の福岡国際では2時間7分5秒の好タイムで優勝した吉田祐也(23=GMOインターネットグループ)だった。青学大卒のルーキーは「数カ月前まで箱根を戦っていた同期が世界を舞台に戦おうとしている。僕自身も負けられないと思っている。同じようにルーキーが強いということを示せれば」。走るのは7区で、伊藤とは別だが、互いを意識する様子だった。同期の存在を問われ、「これからも刺激しあって、陸上界を盛り上げられれば」と言った。

今回は欠場となったが、同じ世代には男子1万メートルで、日本記録27分18秒75を持つ東京五輪代表・相沢晃(23=旭化成)もいる。東洋大4年時の箱根でも「花の2区」の区間新を塗り替えており、今の同年代における出世頭は相沢になろう。ただ、他も多士済々。同世代の切磋琢磨(せっさたくま)がもたらす効果は、計り知れない。少し気を抜けば、すぐ追い抜かれる。またトップレベルが引き上がれば、今は脇役に甘んじててても、競争心と反骨心を持った選手が必ず台頭してくる。

ともにマラソンで日本記録新記録を出した大迫傑(29=ナイキ)と設楽悠太(29=ホンダ)も同世代だ。1997年度生まれ世代は、これから何を巻き起こすか-。

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