絶対に負けられない! 1万メートル日本歴代2位の記録を持ち、学生最強ランナーの田沢廉(3年)が、各校のエースが集う花の2区の区間賞で、駒大を総合2連覇に導く構えだ。2区には、駅伝出走4戦全てで区間賞をたたき出す東京国際大の最強留学生ランナー、ヴィンセント・イェゴン(3年)も配置され、ハイレベルなガチンコ対決が見られそうだ。

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名門・駒大の2連覇は、この男にかかる。エースで3年ながら主将としてチームを引っ張ってきた田沢だ。前回に続きエース区間の2区に配置され「自分がエースとしての走りをしないと、優勝できないと思っている」と頼もしい。

今月4日の日体大長距離競技会の1万メートルで、ライバルのヴィンセントに競り勝ち、27分23秒44の日本歴代2位の好記録をマーク。22年のオレゴン世界選手権参加標準記録を突破した第1号となった。まさに日本学生最強ランナーで、箱根でも「日本人には負けられない。トップで走らなくちゃいけない立場」と、エースの自覚をにじませる。

前回の2区は区間7位に沈んだ。区間新のヴィンセントどころか、日本人トップも逃した。前回は11月の全日本大学駅伝から4日後の日体大記録会までの期間、箱根を意識して距離走を踏んだ。その疲れが残り「合わせられなかった」。今回は調整方法を変え、全日本後は軽い練習にとどめた。

全日本大学駅伝では1年から3年連続区間賞だが、箱根は2年間でまだ1度も区間賞がない。だから「どの区間を任されても区間賞を目標にしたい」と意気込む。そのためにも「(日本人の)ライバルはいない。強いて挙げれば、ヴィンセントを意識」と言う。

大学3大駅伝でヴィンセントとのガチンコ対決は、20年の箱根3区、前回の箱根2区、今年の出雲6区の計3回。その3回ともに、すべて区間新で区間賞を獲得したヴィンセントに敗れ、「まだまだ力の差を感じる」と悔しがった。

主将として部員全員に、流れをつくる重要さを説いてきた。区間賞や打倒ヴィンセントも、結果そのものよりも、それがチームの勢いとなると信じているからだ。「絶対に負けないと言い聞かせている」。今回こそ、箱根で真のエースとなる。【吉松忠弘】

◆田沢廉(たざわ・れん)2000年(平12)11月11日、青森県八戸市生まれ。青森・是川中から青森山田高。高校時代は3年連続で全国高校駅伝に出場。19年に駒大に進学し、出雲3区で区間2位で駅伝デビュー。20年全日本大学駅伝では8区区間賞で大会MVPに輝いた。21年5月の日本選手権1万メートルで2位。180センチ、61キロ。