青学大の強さに、テレビ解説の瀬古利彦氏(65)も驚嘆した。

【箱根駅伝復路】青学大完全V 各区間詳細>>

日本陸連ロードランニングコミッションリーダーを務める同氏は、圧倒的な選手層を絶賛。「他のチームがオールスターで挑んでも勝てない」と、驚異的な強さを評した。

青学の強さは驚異的だった。強い、としか言いようがない。各校が力を入れる往路で優勝し、総合優勝も記録ずくめ。まさに、今年は「青学の青学による青学のための箱根」だった。

勝因は、圧倒的な選手層の厚さ。他校ならエース、準エース級が補欠も含めて16人。いや、もっといるかな。ケガや体調不良の選手に無理をさせることもないし、ギリギリまでコンディションを見極めることができる。信頼して選手を送り出せるし、万全の選手もその信頼に応えられる。

駒大の田沢や順大の三浦のようなスーパーな選手がいても、2ケタ順位が1人でもいたら大きく順位に影響するのが駅伝。青学は力のある選手が万全で走るのだから、1つも穴がない。全員が高いレベルで走ることができる。他の大学がオールスターで挑んでも勝てないんじゃないかな。

6区の高橋はレース後に泣いていた。うれし泣きだと思ったら、悔し泣き。十分に合格点の走りだったけれど、本人は満足できなかったのだろう。往路優勝にもリードを守って慎重になるのでなく記録を狙って全員が攻めたことも含め、意識の高さを感じた。

層が厚いのは、選手が集まるから。高校のトップ選手を集めるのではなく、原監督やチームの自主性を大切にする雰囲気にあこがれて、選手が集まる。「走らされる」のではなく「自ら走る」。青学の強さの根底には自主性がある。

原監督の配置の妙もあった。復路に強い選手を残して、往路で思い切って1年生を使う。「だめでも復路で逆転してくれる」という気持ちの余裕が思い切りのいい走りに表れた。5区の若林は驚いたが、これも自信があったのだろう。それも含めて、さすがだ。

4年生が2人だけの青学は多くの経験者が残る来年も強そう。「青学時代」が続く可能性もあるが、他の大学もこのまま独走は許さないはずだ。中大など古豪復活もうれしいニュース。青学の圧倒的な強さが、大学長距離界のレベルを上げるきっかけになることを期待したい。