女子2000メートル障害に出場した仙台育英(宮城)の武田莉奈(3年)が6分35秒94で優勝し、日本高校記録(6分36秒81)を8年ぶりに塗り替えた。全国高校総体(インターハイ=8月開幕、徳島)では実施しない種目だが、その名をしっかりと刻んだ。男子800メートルでは秋田工の大野聖登(きよと、3年)が大会新記録の1分50秒04で1位となり2連覇。2位に入った1500メートルとの2種目で全国総体の舞台に立つ。

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仙台育英・武田が大記録を打ち立てた。スタート直後から独走し、ぶっちぎりの優勝。2位に約19秒の大差をつけて6分35秒94でゴールした。前半の1000メートルを3分17秒で通過し、後半の1000メートルもほぼ同ペース。課題だった後半のペースダウンはなく、4つの障害物と水濠も、トラック5周で大きなミスをせずに乗り越えた。

「日本記録も自己ベストからあと6秒というところだったので、少し頭に入れながら積極的なレースをしようと臨みました。最後の障害を飛び終わった後に時計を見て『いける』と思い、6分36秒を切れたのはすごくうれしいです」

前半から果敢に攻めるのが武田のスタイルだ。他の選手について行き、リズムを合わせるよりも「前に誰もいない方が自分のレースに持っていける気がします」。速い入りで中盤粘りつつ、終盤もスピードを落とさないプランを遂行。自己ベストは6分42秒台で、当初の目標は6分40秒切りだったが、それを上回った。

もともとは1500メートルと3000メートルが主戦場も、新たな可能性を探った。「『2000メートル障害に挑戦してみようかな』と興味本位でやってみたら『意外とうまいよ』と言われて、そこから続けています」。2000メートル障害は全国総体の種目ではなく、当面は3000メートルで9分38秒台の自己ベスト更新を目指す。「9分30秒切り」「9分20秒前後」と2段階で目標をクリアし、冬の駅伝シーズンに備えるつもりだ。

仙台育英が優勝した昨年の全国高校駅伝はエントリーメンバー8人に入るも、出場5人には選ばれなかった。「悔しい」「もっと記録を伸ばしていかないといけない」と感じたという。その上で「次の都大路を見据え、5人に入るために切り替えようと思いました」と武田。連覇を狙う今年の全国駅伝は2000メートル障害で得た自信を胸に快走してみせる。【山田愛斗】