関東学生陸上競技連盟はこのほど、第100回東京箱根間往復大学駅伝(2024年1月2日、3日)の予選会に、全国の大学が参加可能となったと発表した。第101回大会以降の開催方法は検討するとしている。

早大時代に4年連続で箱根駅伝の2区を走り、マラソンでは84年ロサンゼルス五輪、88年ソウル五輪に出場した日本陸連副会長の瀬古利彦氏(65)に聞いてみた。

 

今回の決定には大賛成だ。我々も願っていたことだし、素晴らしい。ただ、記念大会だけで終わっては意味がない。1回だけでお茶をにごすのではなく、101回、102回と続けること。それが真の「全国化」。この決定も、先を見据えたものだと思っている。

箱根駅伝への道が開かれたといっても、地方の大学は戸惑うばかりだろう。選手にとっては朗報だろうが、1年半では強化などできない。本気で強化するなら5年でも難しい。これから10年、110回大会ごろに上位に入って、箱根駅伝が全国に広がったといえる。

そのためには、早く101回大会以降の全国化も決めてほしい。100回大会についても、本当は90回大会ごろに決めてほしかったところ。少しでも早く大会の将来像を公表してほしい。

本格的な全国化となれば、地方の大学でも本気になるところは出てくるのは間違いない。関西の名門大学、スポーツに力を入れる地方の大学が、長距離選手の獲得を目指して環境を整える。

青学大の原監督もいう通り、ライバルは野球やサッカー。箱根駅伝を夢見る地方の中高生は多いが、金銭面など様々な事情で関東の大学への進学をあきらめ、陸上を離れて他のスポーツに移る選手もいる。地方から箱根を目指せる環境ができるのは大きい。

強化には優秀な指導者も必要。関東の限られた大学だけでなく、全国的に監督、コーチを求める動きがでてくれば、若い指導者にも活躍の場が広がる。

もっとも、いずれも長期的な強化が可能になる101回大会以降の全国化が明確になってこそ。100回大会の全国化は素晴らしいからこそ、これを続けるためにも早く今後の公表してほしい。

五輪も世界選手権も、男子のマラソン代表選手はほとんどが箱根駅伝の経験者。箱根が、強化に果たしてきた役割は大きい。だからこそ、今こそ改革が必要。そのきっかけが100回大会。日本マラソン界、長距離界の未来のためにも、この機会を逃してはいけない。