阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)がアスリートに迫る「鳥谷敬VSパリ五輪の星」。第5回は陸上男子100メートル日本記録保持者の山縣亮太(30=セイコー)との理論派対談。広島出身の「カープ男子」が野球観戦中に気になるポイントとはー。【取材・構成=佐井陽介、上田悠太、佐藤礼征】

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競技は違えど理論派の2人。アスリートとしての感覚がマッチしたのだろうか、対談の途中からは質問をぶつけ合う形となり、最後は「終着地点」にまで話題が及んだ。

「今終わりの話をするのがいいかどうか分からないけど…」。そう前置きした上で鳥谷氏が区切りをつけるタイミングのイメージを問うと、山縣は偽らざる感情を言葉にした。

「自分の持っている技術、体を全部出し切って、これ以上何を変えたらいいか分からなくなったら辞めようと思っています」

この3年間だけでも腰痛に肺気胸、右足首靱帯(じんたい)断裂に右膝痛とケガに苦しんできた山縣。すでに引退後の目標もある。

「ジュニア世代の子供たちに、ケガをしないための体作りとか、そういうものを伝えていきたい」

もちろん、それはまだまだ先の話になりそうだ。【遊軍=佐井陽介】

◆山縣亮太(やまがた・りょうた)1992年(平4)6月10日、広島市生まれ。修道中、高から慶大を経て15年にセイコー入社。12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪で100メートル準決勝進出。16年五輪400メートルリレーでは第1走者で銀メダルに貢献。18年ジャカルタ・アジア大会で10秒00の銅メダル。21年6月に日本人4人目の9秒台となる9秒95で日本新記録。東京五輪100メートルは予選落ち、400メートルリレーは決勝で途中棄権。177センチ。

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日、東京都出身。聖望学園3年夏に甲子園出場。早大を経て03年ドラフト自由枠で阪神入団。1939試合連続出場はプロ野球歴代2位。17年に通算2000安打を達成した。19年オフに阪神を退団し、ロッテで2年間プレーして現役引退。13年WBC日本代表。11年最高出塁率、ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞5度。180センチ、76キロ。右投げ左打ち。

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