駒沢大が9年ぶりに優勝し、大学駅伝「3冠」に向けて前進した。

チームをけん引したのは7月の世界選手権代表で絶対的エースの田沢廉(4年)。2区で区間新の快走を見せて首位に立った1年生の佐藤圭汰からタスキを受けると、エースが集まった3区で8秒差を20秒差に広げて主導権を握った。

「いやあ、(コンディションは)最悪ですね。『3区走りきれるかな』って思ってました」。体調不良を明かしたのはレース後だった。1週間前に感染性胃腸炎にかかり、発熱。寝込んでいたという。

大八木弘明監督も「大丈夫か」と何度も聞くほど。ただ、「自分が走ればチームも乗ってくる」と中心としての自負に強行出場は迷いはなかった。

途中で差し込みで苦しくなりながら、タイムは区間新を記録した創価大のムルワ(4年)に続く23分50秒。「逃げたくはなかった。ギリギリ日本人トップは取れましたね」と完録の走りだった。

大八木監督は「田沢がいるうちに3冠を」と意気込み、この4年間指導してくれた。「恩返しは駅伝の優勝ですよね。まずは1つとれました。あと2つ」。チーム初、史上5校目の3冠へと、チームを引っ張っていく。

◆田沢廉(たざわ・れん)2000年(平12)11月11日生まれ、青森・八戸市出身。是川中、青森山田高を経て駒大に進学。1万メートルで21年日本選手権2位、同年12月には、日本歴代2位となる27分23秒44をマークした。今年7月の世界選手権(米オレゴン州)20位。全日本大学駅伝では1年時から3年連続で区間賞を獲得中。箱根駅伝でも1年時から毎年走り、3年時に花の2区で区間賞に輝く。180センチ、61キロ。