全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。前回優勝のHonda、2年ぶりのV奪回を狙う富士通、戦力充実のトヨタ自動車、そして九州大会を初制覇した黒崎播磨が4強だが、大迫傑(31=Nike)が“参画”するGMOインターネットグループも、大迫の走り次第でそこに加わる。4強+1の戦力を中心にレース展開を展望してみたい(※正式区間エントリーは大会前々日の12月30日に決定)。

●1区(12.3キロ)

近年の1区はスローペースから終盤の勝負となることが多い。前回は1500メートルが専門の舟津彰馬(25=九電工)がラスト勝負を制した。しかし他チームもスピード自慢を配置してくる。

富士通はともに東京五輪5000メートル代表だった松枝博輝(29)か坂東悠汰(26)、GMOインターネットは1万メートル前日本記録保持者の村山紘太(29)が候補。Hondaは11月に自身初の1万メートル27分台をマークした川瀬翔矢(24)か、東日本大会1区区間賞の小袖英人(24)。どの選手もラスト勝負で勝ちきる能力がある。

中盤で飛び出す選手を配置できるとすれば、トヨタ自動車とトヨタ紡織の中部勢か。丸山竜也(28=トヨタ自動車)はマラソンで2時間7分台の持久力と、1万メートルで27分台のスピードを併せ持つ。中部予選は中盤で抜け出して区間2位に23秒差をつけた。

羽生拓矢(25=トヨタ紡織)は11月に1万メートル27分27秒49の日本歴代4位をマークした。そのときの調子なら中盤から独走できるかもしれない。

●2区(8.3キロ)

外国人選手の起用が認められるインターナショナル区間。前回区間賞でトップに立ち、SUBARUの2位躍進を支えたベンソン・キプラガット(19)が前回の再現を期している。前回区間2位のシトニック・キプロノ(21=黒崎播磨)、今年7月の世界陸上オレゴン大会1万メートル銀メダルのスタンネリー・ワイザカ(22=ヤクルト)らも区間賞候補だ。

トヨタ自動車とHondaは不安がある区間。ビダン・カロキ(32=トヨタ自動車)は中部大会2区区間8位、ジャクソン・カベサ(21=Honda)は東日本大会2区区間12位だった。両チームとも多少のマイナスは全体でカバーできるが、区間賞から30秒以内の差にはとどめたい。

●3区(13.6キロ)

1区でビハインドを覚悟する黒崎播磨は、田村友佑(24)が追い上げを開始する。前回区間4位(区間新)で九州予選1区を独走した選手。Hondaは世界陸上オレゴン3000メートル障害代表だった青木涼真(25)か、同1万メートル代表だった伊藤達彦(24)が前を追う。トヨタ自動車は前回2位(区間新)の太田智樹(25)が順位を上げそうだ。三菱重工も前回区間3位(区間新)でトップに立った林田洋翔(21)の2年連続起用が有力。

GMOインターネットが大迫なら、この区間で一気に順位を上げる役目を担う。吉田祐也(25)か今江勇人(24)が起用されたときは、4区の大迫に射程圏内でタスキを渡すことが役割となる。

追い風が予想される区間で、トラックの1万メートル日本記録を上回るスピードが見られる。

(4~7区は24日配信)