仙台育英(宮城)は25日に京都で開催される全国高校駅伝(都大路)で、19年以来3年ぶりの男女アベック日本一を目指す。前回覇者で歴代最多5度の優勝を誇る女子は、エースで主将の杉森心音(3年)を軸にした選手層の厚さを生かし、93、94年以来の2連覇に照準。前回3位の男子は今春就任した千葉裕司監督(35)のもとで、3年ぶりの王座奪還に挑む。

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女子の仙台育英は三度目の正直で都大路2連覇を達成する。過去5大会は17年優勝、18年3位、19年優勝、20年3位、21年優勝と常に3位以内をキープも、2連覇への挑戦は2度阻まれ、93、94年以来となる2年連続の栄冠は近いようで遠い。杉森は「日を重ねるにつれて2連覇のプレッシャーや不安もあるのですが、新しい歴史をつくるために、この1年やってきました」。歴代最多を更新する6度目の頂点に輝き、偉業を成し遂げる。

昨年は1区から3連続区間賞のロケットスタートを決めた。1区・米沢奈々香(名城大1年)が2位に30秒差をつけ、2区・杉森、3区・山中菜摘(19=日本郵政グループ)もリードを広げて首位固め。1度もトップを譲らなかった。

今年のエントリー8選手はスピード自慢がそろい、全員が3000メートルの自己ベストで高校トップレベルとされる9分30秒を切る。杉森は「(米沢)奈々香先輩や(山中)菜摘先輩のようなエース級は何人もいないですが、選手層の厚さは(優勝した)去年以上だと思います」と手応えを示す。

今夏の全国高校総体3000メートルで5位(日本人2位)入賞の杉森、同800メートル優勝の壁谷衿奈、同1500メートル6位入賞の渡辺来愛(くれあ、ともに2年)、2000メートル障害で日本高校記録を持つ武田莉奈(3年)、11月の東日本女子駅伝で6区区間賞の長岡みさき、ケニア人留学生デイシー・ジェロップ(ともに1年)ら、誰が出ても優勝を狙える陣容だ。

杉森は10月の日本グランプリシリーズ新潟大会で、5000メートルの自己ベストを更新した。実業団選手や大学生が大半を占める中、15分34秒54で30人中6位。田中希実(23=豊田自動織機)、広中璃梨佳(22=日本郵政グループ)、米沢に続く日本人4位で「自信になりました」と長い距離に不安はない。

都大路は最長の1区6キロでの起用が有力だ。「最後の大事な駅伝で強さや速さを示し、日本人1位を目指して頑張りたいです」。エースの仕事を果たす。「先輩方や家族もそうですが、一番は毎日練習を見てくださる釜石(慶太)先生に優勝という形で恩返ししたいので、2連覇して新たな歴史をつくりたいと思います」。仙台育英が絶対女王の地位を築く。【山田愛斗】

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男子の仙台育英は「全員駅伝」で3年ぶり9度目の優勝をつかむ。千葉監督体制で初の都大路。前チームを引っ張った吉居駿恭(中大1年)のような絶対的エースは不在も、個々の能力は高く、2年時に全国駅伝を走った4選手が残る。ボニフェス・ムテチが4区区間2位、馬場大翔が5区区間2位、大西柊太朗が6区区間8位、佐藤蓮(いずれも3年)が7区区間2位と奮闘。経験値は今大会屈指といえる。

昨年は悔いの残る3位だった。大西は「ちゃんと走れば優勝は堅いと思っていて、かなり落ち込みました。崩れ落ちて泣いたり、先輩の悔しがる姿を見てきたので、本気で優勝を狙いたいです」。前回は全国の雰囲気にのまれたといい、同じ6区を希望する。「2年生は自分以外が区間2位という中、周りの選手が全員強く見える現象でびびりまくり、区間8位で『やっちまったな』と。今年は自信を持って区間賞を目指します」とリベンジに燃えている。