連覇を逃した青学大は、箱根路を制すために重要な山区間で大きな誤算が生じた。登り5区を予定していた若林宏樹(2年)が前日に体調不良を訴え、下り6区に起用予定だった脇田幸太朗(4年)に急きょ変更。タスキを受けた時点で1秒だった首位駒大との差は2分3秒まで開いた。

迎えた復路。6区に投入された西川魁星(4年)は、まさかの区間最下位。駒大と7分4秒差の7位まで一気に後退した。

そんなブレーキがあっても総合3位。全日本駅伝に出場した宮坂大器主将(4年)がエントリーされないほどの選手層があればこそだった。しかし、この強力な武器である“分厚さ”は、もろ刃の剣でもあった。

チーム内での熾烈(しれつ)なメンバー争い。箱根出場を目指すがゆえに、学内選考レースにピークが合ってしまう選手もいた。原晋監督(55)も「選手を選ぶのはスタッフの仕事。そこで変にアピールしないように」と注意してきていた。しかし、箱根を走りたいという強い思いが、チームでの目先の戦いに視線を向けさせ、調整に乱れを生じさせていた。

そして層の厚さは、競争意識にも影を落とした。3位だった11月の全日本後。箱根に向けた顔ぶれが徐々に固まっていく中、上級生の強さを前に、下級生には自分たちが上になった時に走れればいいというような、あきらめムードすら漂った。岸本大紀(4年)は「下からのプレッシャーを感じない。強くなっていくためには必要なこと」とハッパを掛け、原監督も「ドンマイ、ドンマイでは終われないぞ。悔しい思いでやっていこう」と呼びかけた。

15年の初V以降の9大会で6度の優勝を重ねてきた。その土台となった確かな調整力と、競争心をいかに取り戻すか。常勝軍団の分厚さゆえの課題が、浮き彫りになった。【近藤由美子】