陸上界のニューヒロインとして注目されるドルーリー朱瑛里(しぇり、岡山・津山鶴山中3年)が鮮やかな凱旋(がいせん)レースだ。29日、地元岡山県で行われた「晴れの国 岡山」駅伝に津山市から出場し、3区(3キロ)で区間新記録。優秀新人賞も受賞した。

走りだした途端、沿道から「速っ!」という声が響いた。快足の中3ランナーは頭をぶらさず、まっすぐ足を運ぶ。15日の全国都道府県対抗女子駅伝で17人のごぼう抜きを披露し、区間記録を更新。この日も10秒上回り、2レース連続の区間新記録をマークした。関係者が「これまでにない」と驚くほど集まった観衆の応援を力に、3人抜きで2位まで押し上げた。

地元は大雪。寒波の影響で40センチ以上の積雪となり、都大路以降は十分な練習ができなかった。腹筋やランニングマシンでの軽いジョギングが精いっぱい。河井凡(ただす)監督(69)も出場を不安視していた。

それでも出場したのは、地元に貢献するため。穏やかな河川敷を走りきったドルーリーは「4~5割(の走り)」と悔いつつ「トップが見える位置で渡せたのは良かった」と話した。

カナダ人の父と日本人の母を持つ。「異次元の走り」と評され一躍、脚光を浴びる存在になったが、まだ中学生。予想以上の反響に「あまり注目されることは好きではない」と複雑な胸中も明かした。それでも、大雪や周りの視線をはね返して9分40秒の力走。高校ではインターハイで活躍することが目標で、着実に歩を進める。【竹本穂乃加】