男子100メートルの元日本記録保持者の桐生祥秀(27=日本生命)が昨年6月10日以来、316日ぶりの国内復帰戦となる男子200メートルで優勝を飾った。

午前の準決勝を全体トップで突破し、午後の決勝では20秒88(向かい風0・7メートル)を記録。国指定の難病「潰瘍性大腸炎」などによる休養からの復活を印象づけ、パリ五輪へ新たな1歩を踏み出した。

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走り終えると、客席から声が上がった。肩で息をする桐生はサインを求める子供たちに笑顔で歩み寄り、ペンを走らせた。「陸上が楽しくなって戻ってきたんだと思ってもらえるようにしたい」。さわやかな表情で理由を説いた。

休養期間があったからそう思えた。昨年6月から3カ月半ほど競技から離れた。難病を抱えていたこともあり「休みたい」と打ち明けた。所属先の企業やマネジャーは意思を尊重してくれた。その優しさに触れ、感謝と決意が湧き上がった。「人間味のある人が周りにはたくさんいる。僕も人の心に刺さることをしたい」。

ファンのため、レースに戻ってきた。21年東京五輪以来の国立競技場。歓声を受け、勢いよく飛び出した。強い横風が吹く中、先頭で最後の直線へ。力強く走り切った。「楽しく走っていたら、タイムまで良くなったと言えるようにしていきたい」と笑顔を見せた。

次戦は今月29日の織田記念(広島)を予定しており「もっといい記録が出ると思う」。来夏のパリ五輪も「狙えるなら狙っていきたい」と意欲を示す。3大会連続の五輪へ、桐生が新たなスタートを切った。【藤塚大輔】

【陸上】桐生祥秀、約10カ月ぶり国内復帰!200m1着、20秒83に「また走れてうれしい」