陸上男子100メートルで元日本記録保持者の桐生祥秀(27=日本生命)が昨年6月以来、約10カ月ぶりの国内復帰レースに臨んだ。男子200メートルに出場し、20秒83で1着でフィニッシュした。

スタートすると、徐々にスピードを上げた。スムーズにコーナーを走り、最後の直線へ。そこからさらに後続を突き放し、2着に0・34秒差をつけた。

「カーブから直線のところだけをイメージして、その抜け方を確認することが課題でした。そこはできたと思います」と明るい声で振り返った。

男子400メートルリレーに出場した21年東京オリンピック(五輪)以来の東京・国立競技場でのレース。「今こうして、また走れてうれしいです」とかみしめた。

桐生は昨年6月10日の日本選手権男子100メートルで6位となったレースを最後に、休養を発表した。同年9月には国指定の難病「潰瘍性大腸炎」と闘っていることが理由の1つと明かしていた。

その後は同10月から活動を再開し、今年3月にオーストラリアでのレースで実戦復帰。今月16日の出雲陸上では男子100メートルに臨む予定だったが、ウオーミングアップ中に左膝の裏側に違和感を覚えたため、欠場していた。「出雲から2、3日は休んで、中1日ちょっとしか動いていないです」と打ち明け、「(今日は)久々に走るということで、これはこれでいい練習かな」と前向きに捉えた。

午後からの決勝へは「優勝のような目立つ順位、タイムで、もう1回現れたい」とリラックスした表情で意気込んだ。【藤塚大輔】