予選1組の佐藤拳太郎(28=富士通)が44秒77の日本新記録をマークし、91年に高野進が樹立したトラック種目最古の日本記録44秒78を32年ぶりに100分の1秒更新した。組2着に入り準決勝進出も決めた。

6レーンの佐藤は、7レーンを走る19年世界選手権金メダリストで21年東京オリンピック(五輪)でも優勝したスティーブン・ガーディナー(27=バハマ)を懸命に追った。残り100メートルで4番手から上位を次々と抜いて、2着でゴールした。快挙にもレース後は「日本記録は絶対に出さないといけないと思っていた」と冷静に振り返った。

今季は絶好調。5月に8年ぶりに自己ベストを更新すると、7月13日のアジア選手権(バンコク)でさらに自己ベストを更新。日本歴代2位の45秒00で優勝した。パリ・オリンピック(五輪)の参加標準記録(45秒00)もクリアしたが「45秒では世界に通用しない。44秒50を切らないと決勝へは通過できない」と話していた。

五輪は16年リオデジャネイロ、21年東京大会に出場。日本タイ記録をマークした東京五輪の1600メートルリレー予選では3走を務めた。しかし、昨年はケガに苦しみ日本選手権は予選敗退。世界選手権も出場できなかったが、同大会で日本は1600メートルリレーで日本新記録を樹立し、4位に入賞。これが大きな発奮材料になった。

「ここがまだベストではないと思っている。準決勝でもこれ以上にタイムを上げて決勝に進出したい。まだ目標の1つというか、マイル(1600メートルリレー)でもメダルという目標があるので、ここで喜んで気持ちを切らすわけにはいかない。」と佐藤。世界選手権同種目最高位の91年東京大会の高野進の7位入賞の更新も視界にとらえた。