5度目の出場となった飯塚翔太(32=ミズノ)がレース直前のアクシデントに襲われながらも準決勝に臨んだ。20秒54(向かい風0・1メートル)の7着で準決勝敗退となった。

飯塚は練習用のサブトラックから試合会場へ移動する際、乗車していたカートが他のカートと衝突。もともと3組中1組目で出場予定だったが、急きょ3番目の組に振り替えとなった。

13年モスクワ大会でもバスが縁石にクラッシュしたことがあり「一瞬であれを思い出しました」と心境を振り返った。

本番直前でのアクシデント発生にも、動じることなくレースへ出走。2レーンから飛び出し、前半は粘りをみせた。「中盤からスピードが乗り切れなかった」と反省しながらも「ベストレースに近くて出し切れた」と手応えもあった。

今大会は世界ランキングにより、ギリギリで出場権をつかんだ。7月の欧州遠征から調子を上げ、予選では4年ぶりの20秒2台となる20秒27(無風)を記録。32歳にして、成長を実感した。

「予選を走った後はこれで(20秒)2台が出るんだと」。パリオリンピック(五輪)の参加標準記録は20秒16。「十分にいける手応えもある。ランキングではなく、標準を切るくらいの気持ちでいかないと戦えない」と引き締まった表情をみせた。

「もう1回チャレンジしたい気持ちが燃えました。もうちょっと食らいつきたいな」

今後は男子400や1600メートルリレーでの出走へ準備に努める。

「どこでも。その辺にくっついてアップはしているんで。何が起こってもいいように」

16年リオ五輪の400メートルリレー銀メダリストが、日本の短距離陣を下支えする。