3000メートル日本中学記録保持者の福島・増子陽太(学法石川1年)が、自己ベストとなる8分5秒32で優勝を飾った。中学時代からライバルの兵庫・新妻遼己(西脇工1年)に2秒15先着。「ラストの競り合いもそうですし、去年の全中の進化版って言ったらあれですけど、延長戦の戦いかなと思っていて、それも思い出して、すごくうれしい気持ちでいっぱいでした」。一騎打ちを制し、笑顔で振り返った。

鏡石中3年時に出場した昨年の栃木国体は8分11秒12で3位に入り、日本中学記録を打ち立てた。だが、達成感とともに1学年上の高校生に勝てなかった悔しさもあった。「来年こそは絶対優勝」と心に近い、有言実行した。

スタートから2番手でレースを進め、1000メートル手前で仕掛けた。「(先頭の)新妻の動きが若干きつそうだったので、このタイミングしかない」とトップに浮上。しかし、なかなか引き離せずに競り合いが続く。残り150メートル付近のコーナーで抜き返されたが、冷静だった。残り30メートル付近。「相手がきついところは一瞬でも見逃さない、『ここだ』っていう気持ちで最後の力を振り絞って」と再び首位交代を演じた。

フィニッシュ直後に力強いガッツポーズを決めた。「去年の全中王者で『今年は国体優勝したんだぞ』ってアピールできたのはすごいうれしい」と増子。昨年の全日本中学陸上選手権(全中)3000メートルを優勝し、2位が新妻だった。「確実にあっちも実力が上がっていて、少し焦る部分があった」というが、今回も勝ちきってみせた。

今年4月に学法石川(福島)に入学し、着実に力をつけてきた。5000メートルの自己ベストは14分0秒50。「今季中に5000を走る機会があるなら、13分50秒切りを目指したい」とさらなる高みを見据えた。