第100回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、来年1月2、3日)へ向けた連載「100回目の箱根 今昔物語」の第3回は「花の2区」。各校のエースが伝説を残してきた最長区間の見立ては-。
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長く「花」と称され、100回目でも「花」となる-。来年1月2日も各校のエースが競い合い、レースの大勢を占う23・1キロとなりそうだ。
出場23校の監督で2区経験者は実に9人。早大の花田監督に4年時に初めて2区を走った記憶を聞くと、恩師との会話を明かしてくれた。「実は自分自身あんまり調子が良くなかったので、走っていいのか葛藤がありました。最後、瀬古さんに『変えてほしい』と言うと『お前は今年のエース。やっぱり2区を走んなきゃダメだ。自信を持っていけ』と」。
その瀬古コーチ(当時)こそ、2区の「花形」だった。4年連続、区間新は2度。2年時からは1カ月前の福岡国際マラソンに出場し3、4年時は優勝を飾ってからの出走という異例の挑戦だった。ただ、序盤にレースの流れを決める最長区間は他に譲れない。その使命感は指導者となり、脈々と教え子に受け継がれた。花田監督は「山が注目され、戦略的な要素もあるんですけど、本音としては2区にエースを置きたい。将来日本を背負って立つ選手は走ってほしい」と説く。
思いは今大会の2区経験監督も重なる。
駒大・藤田監督 チームのエースが走るべき区間だと思っています。
中大・藤原監督 全ての要素が求められるエース区間。学生長距離の頂点。
城西大・櫛部監督 一番と言っていいほど差がつきやすい。だからチームの顔となる選手が走るべき。
駿河台・徳本監督 精神的支柱になり得る選手が走るべき。近年の箱根は1区2区をセットで考えている大学が多い。
「山の神」の登場や1区へのエース投入などもあり、一時は価値が揺さぶられた2区。今回これだけの名選手たちが指揮を執り、それぞれが2区に最大限の敬意と思い入れを隠さない。
五輪で勝負できる選手輩出を目的に始まった箱根駅伝。これまで箱根路を経験して五輪に出場したランナーで、2区を走った選手は全区間中、最多の35人。100回目も、指揮官たちの思い、系譜を継ぎ、世界を見据えるランナーたちが集う。【阿部健吾】