“ハードルの二刀流”でパリ五輪へ-。

身長195センチの大型ハードラー豊田兼(21=慶応大)が、日本人初となる110&400メートルの障害2種目での五輪出場へ「両方狙いにいく」と宣言した。

国内では前例がない挑戦となるが、それが好循環を生むと捉える。「110でのハードリングの技術は400にも生かせる。部分的にはつながっていると思います」。400メートル障害はパリ五輪の参加標準記録を突破済みで、6月の日本選手権(27~30日)での成績次第で代表入りが決まる。110メートル障害は参加標準未突破も、昨夏のワールドユニバーシティゲームズでは金メダルを獲得。2種目とも日本歴代6位の記録を保持している。

今季は2~3月は110メートル障害に特化し、4~5月は400メートル障害に注力する方針。種目ごとに強化期間を設け、6月末の大一番へとピークを合わせていく。

この日の400メートル障害では、シーズン初戦ながら49秒38で1着。昨季1戦目よりタイムを1秒91も短縮させ「練習から49秒台前半が出ると分かっていた」と余裕を漂わせながらうなずいた。

何よりも、パリとの縁が五輪への思いを強める。父の母国はフランスで、大学1年の頃から今夏の五輪を見据えてきた。

「モチベーションになる。初の五輪がそういう舞台となるのは特別。(父も)喜んでくれると思う」

ゆかりのある地で躍動し、感謝と成長を示す。【藤塚大輔】

◆豊田が110メートル障害で五輪に出場するには 同種目の出場枠は最大3。6月末までに参加標準記録(13秒27)を突破した上で日本選手権(6月27~30日)で優勝すれば即内定。2位以下でも、成績次第で代表入りとなる。参加標準を突破できなかった場合も、7月2日時点の世界ランキング次第で内定を得られる。同種目は泉谷駿介、村竹ラシッド、野本周成がすでに参加標準を突破しており、激戦種目となっている。

◆豊田兼(とよだ・けん) 2002年(平14)10月15日、東京都生まれ。フランス人の父、日本人の母のもとに生まれる。小学生から陸上競技を始め、桐朋高入学後に本格的にハードルを開始。自己記録は110メートル障害が13秒29、400メートル障害が48秒47。身長195センチ。