日本女子バスケ界を背負う身長191センチのスーパー女子高生・渡嘉敷来夢(2年=桜花学園高)が、目標を12月の高校選抜(ウインターカップ)2連覇に合わせた。今月インドネシアで行われた第19回U―18アジア選手権決勝で日本の初優勝を導き、来年7月に行われるU―19世界選手権(タイ)への出場権を得たが、国内でのタイトルも譲れない。今年9月の国体では公式戦初黒星を喫しており、高校女王の称号を取り戻してから先に進む。

 ロンドン五輪期待の星がアジアの舞台で輝いた。今月9日のU―18アジア選手権決勝・中国戦で、チームトップの22得点をたたき出した。前半を38―51で折り返す劣勢を跳ね返し90―87で勝利。日本を初のアジア女王へと導いた。予選5試合、決勝トーナメント2試合すべてに先発出場し98得点を挙げたエースは「楽しかった。中国には196センチの選手がいた。国内では自分より大きい選手とやる機会がないから。ちょっとは自信ついたかなって思います」と笑顔で振り返った。

 指導する桜花学園高の井上真一監督(62)は「渡嘉敷のスピードとパワーは将来的に世界で十分通用する力がある。早い話、この世代ならアジアで1番の選手。(優勝の)チャンスはあると思っていた」と話す。今春、史上最年少16歳でフル代表候補に選出。北京五輪出場をかけた世界最終予選のメンバーからは外れたがチームに帯同した。U―18の舞台はもの足りないとばかりに、これまで中国、韓国に阻まれ越えられなかった壁を打ち破った。

 来年のU―19世界選手権にもアジア1位として出場が決まった。「負けず嫌い。自分がボコボコにされるくらい強い、高い、速い選手と戦いたい。そういう相手がいると自分はもっと強くなれると思うんです」とまだ見ぬ強豪との対戦を心待ちにする渡嘉敷だが、今は“雪辱”への思いで頭がいっぱいだ。桜花学園高の単独チームで出場した今秋の国体で愛媛との準々決勝に敗れ公式戦初黒星。高校9冠の夢が絶たれた。

 「アジアはアジア。でもチームで優勝する方がうれしい。桜花の強さを絶対に証明したい」と、年末の高校選抜での優勝を狙う。世界選手権、その先にあるフル代表でのロンドン五輪に向け、まずは目の前の目標に挑む。【上野竜一】

 ◆渡嘉敷来夢(とかしき・らむ)1991年(平3)6月11日、東京都北区赤羽生まれ。宮川小6年の時に、偶然出場した走り高跳びで全国優勝。挟み跳びで138センチを記録した。豊春中1年からバスケを始め、春日部東中3年時に全国大会で8強に進出。桜花学園高では1年からレギュラー入り、チームの3冠(高校総体、国体、高校選抜)に貢献した。ポジションはセンター。父が日本人とアメリカ人のハーフ、母が日本人。身長191センチ、足のサイズは28・5センチ。趣味は音楽鑑賞でEXILEの大ファン。