北京五輪が始まった。新型コロナ禍で、通常とは違う厳戒態勢。日本国内の感染者も増える一方で、国内の行動制限も厳しくなる。ここは割り切って、ステイホームを徹底して時差の少ない五輪をテレビ観戦するのもいいかもしれない。

競技は開会式の2日前から始まった。男女で日本の金メダルが期待されるフリースタイルスキーのモーグルは、開会式前日の予選が行われた。女子の川村あんりは5位で突破したが、男子のエース堀島行真は1回目の予選を突破できなかった。開会式を前に、いきなり「まさか」が起きた。

日刊スポーツは今大会に向けて金、銀、銅合わせて35個のメダル獲得を予想した。W杯や世界選手権などを通して安定した成績を見れば、十分可能。記者の期待もあるが、獲得してもおかしくない数字だ。

もっとも、冬季五輪は予想通りにならない。前回平昌大会前は金9、銀3、銅10を予想したが、メダルの色まで的中したのはフィギュア男子での羽生結弦、宇野昌磨のワンツー、スピードスケート小平奈緒と女子パシュートの金の4個だけ。逆に予想にはなかったモーグル男子の原大智とカーリング女子が銅メダルを獲得した。

「五輪は何が起こるか分からない」が、冬季大会は夏季の数倍も分からない。雪や氷の上では、スキーやスケートの数ミリの操作ミスで転倒やバランスを崩すことも多い。気温や天候にも左右されるなど、繊細な競技が多いのだ。

過去の冬季五輪では、ライバルの自滅で伏兵が金メダルを獲得したり、優勝候補筆頭がまさかのミスをしたり、「世界選手権覇者は勝てない」「W杯の成績は参考にならない」と言われる種目もある。さらに、今回は新型コロナで有力選手の欠場や心身の不調など不確定な要素が多すぎる。どんな大会になるのか、想像するのも難しい。

ただ、だからこそ冬季五輪は楽しめる。驚愕(きょうがく)のドラマがてんこ盛りの17日間、雪と氷の祭典を味わいつくそうと思う。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)

パフォーマンスで会場を盛り上げるマスコット(撮影・菅敏)
パフォーマンスで会場を盛り上げるマスコット(撮影・菅敏)