競泳の世界選手権が18日、ハンガリーのブダペストで始まった。初日から大橋悠依や瀬戸大也らが登場。ともに成績はいまひとつだったが、来年の福岡大会、2年後のパリ五輪に向けて楽しみな大会になりそうだ。

五輪の競泳と同様に、パラの競泳もパリ大会へスタートを切った。パラ競泳の世界選手権はスペインのマデイラ島で行われ、18日が最終日。日本代表の精鋭16選手が、連日メダルを獲得した。

東京大会のS11(視覚障害)男子100メートルバタフライで金メダルを獲得した木村敬一は、同種目で優勝するなど出場全種目で表彰台。東京大会以降は各種の表彰やメディア出演など多忙を極めて満足な練習はできなかったはずだが、金メダルの「呪縛」から解き放たれたからか、笑顔で泳ぐ姿が印象的だった。

東京大会男子100メートルバタフライで木村とワンツーの銀メダルを獲得した冨田も4個のメダルを手にした。運動機能障害で35歳の鈴木孝幸も出場全3種目でメダル獲得。東京大会男子100メートル平泳ぎ(知的障害)金メダルの山口尚秀は大会連覇を果たし、女子100メートル背泳ぎ(視覚障害)の小野智華子は初優勝した。

ベテラン勢だけではなく、若手も頑張った。16歳の日向楓は男子50メートルバタフライS5(運動機能障害)など2個のメダルを獲得。19歳の向井真緒里も女子200メートル個人メドレーSM5(運動機能障害)で3位に入った。

12日の開幕から18日の最終日まで、日本勢が獲得したメダルは金3個を含む計20個。東京大会の金3を含む13個を大きく上回った。とはいえ、東京大会メダル獲得数2位(49個)のロシアが資格停止で欠場、同1位(56個)の中国も不参加だから、メダル数が増えるのは当然ともいえる。

ただ、世界の大会でメダルを獲得したことは事実。選手は自信になったはずだ。何よりも連日、NHKが放送したことで、多くの日本人が選手たちの活躍を目にすることができた。

1998年の長野冬季五輪の時に行われた長野パラリンピックも大会中は盛り上がった。しかし、大会後には忘れ去られた感があった。だからこそ、東京大会以降の障がい者スポーツが心配だった。

もちろん、東京大会前と同様の支援は受けられない。注目度も同じにはならないかもしれない。それでも、選手たちが次のパラリンピックを目指して続けている努力に変わりはない。それを応援したいと思う。

障がい者スポーツは、その選手のバックボーンまで含めて感動的なドラマに出会うことが多い。それを広く伝えていくことも、我々メディアの使命なのかとも思う。

東京大会で報じられたさまざまなドラマは、終わってはいない。形を変えながらもパリへと続く。男子100メートルバタフライの木村と冨田の争いを見ながら、そう思った。

(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)