東京五輪代表の小林優香(27=日本競輪選手会)が女子ケイリンで優勝し、2年ぶりに日本チャンピオンを奪還した。パリ五輪を目指し、現役続行を表明。東京で果たせなかったメダル獲得へ、好スタートを切った。パラサイクリングでは、パラ五輪女子ロードタイムトライアル金の杉浦桂子が大会新記録で制した。

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小林が五輪代表の意地を見せた。最後方の5番手から上昇し、残り2周で先頭に立つと、そのまま後続を置き去りにする逃げ切り勝ち。「スプリントの反省を生かして、積極的に動こうと思っていた。てっきり後ろが付いてきていると思っていた」と、うれしそうに笑い、ファンの拍手に応えた。

昨年の全日本は東京五輪の延期に伴う精神的ショックから惨敗。そこから立て直した五輪本番では、世界との力の差を見せつけられた。競技続行かを悩んだ末、先月8日に継続を表明。「東京五輪で、この舞台で生の表彰台を見て、やっぱりあそこに立ちたいと思った」。競技を始めた時から大本命だったケイリンで圧勝。パリに向け、幸先のいいスタートを切った。

ただし、その道は決して安泰ではない。小林が出場しなかった10月の世界選手権では、23歳の佐藤水菜が女子ケイリン史上初の銀メダル。東京五輪で次点だった太田りゆも、世界を転戦してきた。「これからは1つ1つの大会で少しでも多くメダルを取って、自分の存在を国内でも示していきたい」。東京以上に厳しい代表争いを勝ち抜き、今度こそ五輪メダルをつかむ。【山本幸史】