<バレーボール・全日本高校選手権:高松工芸2-0聖隷クリストファー>◇5日◇男子1回戦◇さいたまスーパーアリーナ

 聖隷クリストファー(静岡)は、昨年の2回戦でぶつかった高松工芸(香川)にストレートで敗れ、リベンジはならなかった。相手の強烈なジャンプサーブに苦しみ、持ち前のコンビバレーを発揮できず姿を消した。

 試合前練習から相手のサーブが走っていた。聖隷のセッター水口洸兵(3年)が「バカ強え…」とつぶやいたほど。試合でも強力ジャンプサーブが襲う。リベロからアタッカーに転向した大原悠主将(3年)ですら2本続けてはじき飛ばされた。サーブマシンでレシーブを鍛えていたが、大原は「マシンとは違って微妙な変化があった」と脱帽。2セット目は相手サーブミスもあり、終盤まで競り合いが続いたが及ばなかった。

 敗れはしたが、エース豊田竜之介(3年)はすがすがしかった。2段トスの苦しい展開で、何度も3枚ブロックをはじき飛ばした。「ブロックが良く見えたし、誰よりもいいプレーができたと思う。悔いはない」。田川明浩監督(45)が練習で言い続けた「勝利の神様は指の先端にいる」との教えを守り、指先まで全神経を集中させブロックアウトを狙った技も見せた。

 両親も祖母もバレーをプレーするバレー一家。夢は地元で中学教師になりバレー部顧問になることだ。豊田は「仲間がたくさんできた。奥が深いからサーブやスパイクを決めた時の喜びは大きい。楽しさを子供に教えたいな」。水口が「僕が子供だったら豊田には教わりたくない」と突っ込むが、それも中学県選抜のころからともに戦った仲だからこそ。バレーで得た仲間と、最後の大舞台で完全燃焼した。【岩田千代巳】