<全国高校総体:柔道>◇9日◇福岡市民体育館◇男子100キロ超級

 

 個人戦100キロ超級準々決勝で、静岡学園の佐藤和哉(3年)は優勝した千葉・東海大浦安のウルフ・アロン(3年)に敗れ、悲願の優勝を逃した。延長戦で大内刈りを決められ、優勢負け。3月の高校選手権では昨年敗れた宿敵を準決勝で破り、初優勝を飾ったが、組み手を徹底的に研究され、返り討ちにあった。また、重量級に出場した県勢3選手は初戦敗退となった。

 佐藤の前に、またしてもウルフが立ちはだかった。3回戦まで全て一本勝ちで勝ち進み、迎えた準々決勝。序盤から得意の組み手をことごとくかわされ、見せ場なく2分間の延長戦に突入した。その後も「研究されていた」とキレのある足技も出せず、開始25秒で大内刈りを決められて、優勢負け。拳で畳をたたき、悔しさをあらわにした。

 佐藤は「やりにくい試合だった。研究されても、それを上回れなかったので。悔しい」。3月の高校選手権では昨年敗れたライバルを準決勝で破り、初優勝。一躍脚光を浴び、追われる立場となった。

 今大会は「プレッシャーはなかった」と話したものの、バリエーションを増やした組み手も通用しない。力負けしないために、体重を3キロ増やして大会に臨んだが、最後はウルフの強引さに屈した。

 ウルフはこれまでお互いしのぎを削ってきた存在だ。今後もその関係は変わらないだろう。渡部直樹監督(41)も「いつかは日本代表をかけて戦うかもしれない。目先の勝利だけでなく、最後まで自分のスタイルを貫いたことは次につながる」とねぎらった。

 9月には全日本ジュニア体重別選手権が控えている。「夏のタイトルがほしかった」と高校生活最後の総体は幕を閉じたが、これで終わりではない。佐藤は「課題は見つかったし、負けて学ぶことは多い。もっと強くなりたい」。そう話して涙をぬぐうと、準決勝を戦うライバルの姿をスタンドから食い入るように見つめていた。【神谷亮磨】