世界ランク14位の日本代表が、同19位のウルグアイに完勝した。9月のW杯初戦でぶつかる強豪・南アフリカを想定し、ベストメンバーで臨んだ。前半はキック、後半はパスを多用して持久力を生かす戦術に磨きがかかった。W杯前最後の国内戦で弾みをつけた。明日31日に最終メンバーが発表され、9月1日に開催地イングランドに向けて出発する。

 日本の鮮やかな連係に、秩父宮が沸いた。前半12分、FB五郎丸が右中間へ先制トライ。3分後にはNO8のツイが自陣から右中間を突破。追いかけたSH田中からの速いパスを受け、SO小野が右中間に飛び込んだ。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)は「ここまでで一番攻撃のリズムが出た」と頬を緩ませた。

 W杯で24年間未勝利の日本が、優勝候補の南アを倒す。その打開策が垣間見えた。ジョーンズHCも「フィジカルは世界一」と認める相手。この日は戦術も南ア仕様だ。前半はキックを多用して前進し、幾度となく相手を背走させた。後半は一転して、パスとラン。「前半でキックを意識させて、相手のBKが警戒して下がったところを突いた」とCTB立川は明かした。

 真っ向からのパワー勝負では勝ち目はない。持久力勝負に持ち込むことが勝ち筋だ。前半はキックでボールを大きく動かし、相手を走らせる。そして互いに疲れがたまる後半ラスト20分こそ、宮崎合宿で毎朝6時から3部練習をしてきた日本の真骨頂だ。この日は終了間際で走るのがやっとのウルグアイに対し、日本は試合終了のホーンが鳴ってもなお攻め続けた。

 南アと同じくFW自慢のウルグアイを完封した。格下とはいえW杯に出場する相手に理想の形で完勝し、引き揚げる選手の表情にも自信がみなぎった。W杯開幕まであと20日。「初戦に全力を注ぐ」というジョーンズHCの言葉は、どこまでも本気だ。【岡崎悠利】