元五輪選手の母を持つ全国中学体育大会優勝の水井ひらり(福島・富岡一中3年)が、初戦で桜本絢子(ヨネックス)に0-2と敗れた。奈良から駆け付けた母妃佐子さん(43)が見守る中、社会人相手に全力プレーを見せたが、大会史上6人目の中学生の本戦出場はならなかった。

 第1ゲームを5連続ポイントでリードしたが、差はじわじわと縮まった。淡々と試合を進める水井は、コートの特質に苦しんでいた。「ライトがまぶしくて、風でシャトルが流れ、やりにくかったです」。

 第1ゲームは5点リードを逆転された。第2ゲームは9-19から6連続ポイントも及ばず。「中学生なら決まる球が大人相手だと決まらなかったです。ひとつでも勝とうと思ってやったんですけど」。噴き出る汗を手でぬぐって言った。

 母妃佐子さんは全日本総合を3連覇するなど4度制した。92年バルセロナ、96年アトランタの両五輪でも2大会連続で16強入り。その母の指導から、自分で富岡第一中への道を選んだ。「私の指導は『いや』って。はっきりしてます。でも、いいことですね」。

 「また、頑張りなさい」と試合後に声をかけられると、うれしそうに水井は笑った。試合後のインタビューでは「五輪でメダルを取りたい。東京五輪で取りたいです」と言った。「立派ですよね、はっきり言えて」と母。負けても、娘の心の成長は誰よりも分かっている。