新潟工の38年ぶりの3回戦進出はならなかった。深谷(埼玉)に14-45。点差は開いたが、前半19分にNO8戸田純治(2年)、後半28分にはフランカー鷲尾裕也主将(3年)とFWが2トライ。磨き上げてきたFW陣の力を全国にアピールすることはできた。来年の花園2勝への布石は打った。

 力は出し切った。花園のフィールドを去る新潟工のメンバーに涙はなかった。「力は出し切った」。鷲尾主将は笑みさえ見せた。

 立ち上がりから苦しい試合展開だった。BKの速さを武器にする深谷の展開力に振り回され、開始5分で2トライ、1ゴールを許した。後半は5トライと畳み掛けられた。

 ただ、その中で貫いたのはFWを主体に押すこと。自陣からでも愚直にFW戦にこだわった。スクラムで押しては、サイドを突いて起点をつくり、ラック、モールで持ち込む。

 じわじわと相手に重圧をかけた。前半19分にはラックから戸田が飛び込んだ。後半28分には鷲尾主将がモールからトライを決めた。前半22分には自陣22メートル付近からモールで押し、ハーフウエーを越えてスタンドをわかせる場面も。

 昨年の花園の2回戦で京都成章(京都)に0-62の大敗。その後、1年かけてラック、モールにこだわって鍛えてきた。FW陣は平均体重92・3キロに仕上がった。「自分たちの形でトライできたことがうれしかつた。新潟工はFWが強い、という印象は持ってもらえたと思う」。鷲尾主将は堂々と言い切った。

 樋口猛監督(43)は「よくやったと思う。練習してきたプレーをした」と、最後まで持ち味に執着した戦いぶりをたたえた。同時に、「FWが重くて強い分、守備の反応が遅くなる。その分をカバーできるBKの力をつけないと」と、2回戦突破の課題も感じていた。

 「FWの新潟工」を全国舞台で披露できた。U-17日本代表のフランカー近藤芽吹(2年)は「来年はFWもBKもどちらも強い新潟工を見せたい」。そのための努力の日々は、すぐに始まる。【斎藤慎一郎】