秋田ノーザンハピネッツが仙台89ERSを破り、東北最強の座を3年ぶりに奪還した。Bリーグ1部(B1)同士の戦いは互いの意地がぶつかり合う展開。10点をリードされ後半に突入するも第3クオーター(Q)でPG安藤誓哉(24)が要所で3点シュートを決めるなどリズムを作り、第4Qに点差を広げ、74-65で勝利した。同地区のライバル同士の一戦を制し、24日のBリーグ開幕戦へ弾みをつけた。

 黄色い歓声をじわりじわりとピンク色の勢いがのみ込んだ。10点差を追う後半。秋田が守備で重圧をかける。第3Q、得点を許さない。4分以上無得点の相手を尻目にシュートを決め、39-38。残り4分21秒。相手の攻撃を24秒守りきりボールを奪う。後半2つ目のタイムアウトを取らせた。次の得点が流れを決める状況で安藤は冷静だった。「しっかり回ってきたボールを決められた」。右コーナーでボールを受けると飛び、素早く右腕を振りぬく。点差を4点差に広げる3点シュートの放物線は、ネットを揺らした。

 負けられない一戦だった。開幕前のプレシーズンマッチといえ、相手は同地区のB1仙台。bjリーグ時代からのライバル相手にSG田口成浩主将(26)は「勝負どころでの仙台さんの結束力は脅威。ずっと怖いと思っている相手」と敗れれば苦手意識がつく可能性があると警戒していた。

 因縁が渦巻いていた。安藤がマッチアップした仙台PG石川海斗(25)は明成高の2学年先輩。入学時からドリブルのスピードの速さは憧れだった。「海斗さんは相変わらず速かった。でも速さでは負けられない」と燃えた。長谷川誠ヘッドコーチ(HC、45)も仙台間橋健生HC(45)とは同学年。実業団時代のチームメートでもあり、互いの手の内は知っていた。それだけに「bjでも同じ地区だったし、bj(出身)のチームには負けられないというのは人一倍ある」と対抗心があった。

 第4Qに点差を広げ勝利。東北最強の座を手にし、プレシーズン4戦無敗と最高の状態で24日の開幕戦を迎える。長谷川HCは「全勝というのは次につながる」と話せば、田口も「勝ちながら逃げ切ったり、いろんなタイプの勝利があった。勝ちグセがついたかな」。3年ぶり3度目の東北王座。カップとともに大きな自信もつかみ取った。【島根純】