リオデジャネイロ五輪柔道女子52キロ級銅メダルで休養中の中村美里(27=三井住友海上)が1日、筑波大大学院人間総合科学研究科への進学理由を明かした。

 都内で行われたトップアスリート就業支援「企業セミナー」に出席。同席した03年世界陸上女子マラソン銅メダルの千葉真子さん(40)に大学院進学の理由を聞かれると「勉強して次のキャリアにつなげたいと考えました。現役引退後の柔道の指導者という選択肢だけでなく、他の角度から社会を見て視野を広げたいと思いました」と説明した。

 12年ロンドン五輪で初戦敗退後も同大学院進学の意向があったという。リオ五輪後は、年齢や引退後の将来を考え「今までとは違う自分になりたい」と強く感じた。米国留学や専門学校などの選択肢もあったが、大学院進学を選んだ。東京・渋谷教育渋谷高卒のため「社会人特別選抜」で合格した。「大学院ではいろいろな社会人の方と話す機会がある。柔道一筋の自分にとって大きなものが得られると思う。今から楽しみです」。

 大学院ではスポーツプロモーションなどのスポーツ健康システムマネジメントを専攻する。同研究科には88年ソウル五輪52キロ級銅メダルの山口香氏が准教授を務めており、リオ五輪女子70キロ級金メダルの田知本遥(26)と姉の愛(28)も入学する。具体的には、スポーツ選手の引退後のキャリアなどを研究したいという。

 リオ五輪から半年が過ぎた現在も現役続行については「白紙」の状態が続いている。稽古は所属先の選手と毎日している。20年東京五輪に関しては「地元開催ということもあり、挑戦したい気持ちはある」と意欲を示したが「まだ心と体が整っていない。大学院で勉強しながら、現役続行を含めた次の道を考えたい」と胸中を明かした。

 女子52キロ級には、グランドスラム・パリ大会で史上最年少の16歳で優勝した阿部詩(うた、16=夙川学院高)がいる。これまで同階級は、08年北京五輪から3大会連続出場の中村と今年1月に引退した西田優香さんの“2強”が続いていた。中村は阿部について「勢いがあっていい。10代選手が出てくると柔道界が盛り上がる。階級の層も厚くなり、自分の現役続行の発奮材料にもつながると思う」と、52キロ級の先輩としてさらなる活躍を期待した。