初出場の男子100キロ級のウルフ・アロン(21=東海大)が世界王者に輝いた。全6試合で4度の延長戦を制し、持ち味のスタミナと根性を存分に発揮。決勝ではリオ五輪90キロ級2位のリパルテリアニ(ジョージア)に延長27秒、大内刈りを鮮やかに決めた。「全て出し切った。今年目標としていた大会でこういう結果になって最高です」と涙声で喜びをかみしめた。

 目標を決めたら突き進む。6歳で春日クラブに入門。中1までは「柔道嫌い」で勉学に励み、試験で学年3位にもなった。中2の時、東海大の後輩に投げ飛ばされたのが転機だった。「生意気な後輩に投げられた自分が許せなくて。強くなって見返してやる」。こう心に決めて、8年間柔道と真剣に向き合ってきた。

 気分転換は本格派コーヒー。コーヒーメーカーを2台持ち、豆からひいて味わう。しかし、畳の上に立つと、名の通り“オオカミ”に一変する。今大会前には胸毛も剃り「優勝出来る実力はある」と豪語して臨んだ。前大会覇者の羽賀にも強烈に対抗心を燃やす。「残り3年間の結果で証明すれば良い。何回勝負しても負けない。ここからが大事」。新王者は3年後を見据えて強気に言った。

 ◆ウルフ・アロン 1996年(平8)2月25日、東京都生まれ。6歳で柔道を始める。千葉・東海大浦安高時代は高校選手権、金鷲旗、高校総体などでタイトルを獲得。東海大進学後は15、16年講道館杯を連覇。17年全日本選手権準優勝。世界ランキング31位。得意技は大外刈りと内股。米国人の父と日本人の母を持つ。180センチ。