男子で15歳の国武大晃(STANCER)がW杯で初めて表彰台に上がった。11日の予選を首位で通過していた新星は決勝でも83・64点をマークし、2位に入った。過去にクワガタの一種パラワンオオヒラタを飼育し、大きさのギネス記録を持っていた父大毅さん(44)と実力を磨いてきた男が、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)のメダル候補に名乗りを上げた。

 シンデレラボーイが現れた。決勝2回目。国武は左足を前にした逆スタンスから入る縦2回転、横3回転半に続き、縦3回転、横4回転の難しいジャンプも決めた。83・64点をマーク。堂々たる演技で2位に入り、自身初のW杯表彰台に上がった。「うれしい。最低でも表彰台に乗ることが目標だった」と落ち着いた表情で話した。

 スロープスタイルは世界選手権を制した実績がある鬼塚や、今大会2位だった16歳の岩渕ら女子に注目が集まっていた。その中で男子の国武が平昌五輪のメダル候補に名乗り出た。ただ反省もある。「(見せる)技術が足りなかった」と序盤の障害物の攻略を悔いた。「メンタルもそうだが、難しい技でも(着地で)立てるようにしっかりしたい」と引き締める。

 世界を感じる環境が愛知・阿久比町の自宅にある。父大毅さんは、運送業の傍ら、クワガタのブリーダーとして業界の有名人。16年に塗り替えられたが、約5年前にパラワンオオヒラタを飼育し、112・3ミリまで育てることに成功。ギネス記録として認定された。塗り替えられたクワガタも、大毅さんが提供した幼虫だという。大毅さんは「外国産の大きなクワガタを(大晃に)見せたくて、飼育を始めたら、凝ってしまいまして。突き詰めてみたらギネスがあると知り、挑戦してみました」と笑う。ジャンルは全く違うが、元世界記録保持者の父を持つ大晃も「ギネスはすごい。お父さんがクワガタをやっていて、それがスノーボードにもつながった」と刺激を受けている様子だ。

 両親の影響で3歳から始めたスノーボードも父がコーチだった。トップ選手の動画を編集してもらい、技術力向上の参考にした。週末は両親の運転で、岐阜や新潟のスキー場に車で通った。スロープスタイルとビッグエアの2種目で平昌五輪代表入りが確実。日本選手団最年少代表の可能性も高い。「五輪は夢だった。自分の滑りを見てほしい」と言う。残り約1カ月。出場だけでなく、父に負けない!? ビッグな称号をつかみ取る。