平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)個人ノーマルヒル銀メダルの渡部暁斗(29=北野建設)が3位に入り、2試合を残して自身初の個人総合優勝を決めた。複合の日本勢では92-93年シーズンから3連覇した荻原健司以来、23季ぶり2人目の快挙。強風で16日の予備飛躍が採用された前半飛躍(ヒルサイズ=HS140メートル)はトップ。2位に18秒差でスタートした後半距離(10キロ)で粘り、今季12度目の表彰台に立った。スキーの日本勢ではジャンプ女子の高梨沙羅に続き3人目のW杯総合優勝となった。

 渡部暁が「キング・オブ・スキー」の称号を手にした。総合優勝を争うヤン・シュミット(ノルウェー)には、前日終了時点で202点差をつけ首位。この日、シュミットより1つでも順位を上回れば総合Vが決まる。王手をかけて臨んだ試合で、今季12度目の表彰台を確保し、2試合を残して確定させた。五輪銀メダルに加え、もう1つ勲章を手にした。

 競技は前半飛躍が強風で中止となり、134メートルの最長不倒でトップだった16日の予備飛躍の成績が採用された。「ベストを尽くす」と臨んだ後半距離はシュミットに18秒差でスタート。終盤でドイツ勢に追い抜かれたが、4位シュミットに38・6秒差をつけた。ジャンプ、距離とも安定した力を発揮する今季の戦いぶりを象徴する一戦だった。

 紆余(うよ)曲折のシーズンだった。昨年11月の今季開幕前と今年2月の平昌五輪直前の2度、左肋骨(ろっこつ)を骨折。万全ではない中で、個人ノーマルヒルで銀メダルを獲得した。個人総合は過去2位と3位が3度ずつ。「(優勝)したくてもできない。それは僕が一番分かっている」。苦難を乗り越えた先に、大きなタイトルが待っていた。