“新ビーチの妖精”坂口佳穂(22=マイナビ/KBSC)が、鈴木悠佳子(30=湘南ベルマーレ)とのペアでツアー初優勝を飾った。

 準決勝で石坪聖野(22=at home)柴麻美(22=帝国データバンク)組に2-0のストレート勝ち。決勝では浦田景子(40=フリー)田中麻衣(34=ANA)組にマッチポイントを握られながら15-21、23-21、15-11の2-1で逆転勝ちした。

 勝利への流れを生んだのは、坂口のサーブだった。第2セット、先にセットポイントを奪いながら連続失点して20-21。相手にマッチポイントを与えてしまった。そこから鈴木の強打で追いつくと、坂口がサイドライン際に鋭く曲がり落ちるサーブで連続エース。崖っぷちで踏みとどまると、最終セットも先行されながら要所で坂口のサーブが威力を発揮して、逆転で栄冠をたぐり寄せた。

 「場所を狙って打つ練習の成果です。途中までミスが多かったけど、うまく修正できました」と坂口。立ち上がりからサーブミスが目立ったが、第2セット中盤に持ち味のジャンプサーブからフローターサーブに切り替えた。威力よりもコントロール重視で乱れを修正したことが、値千金の連続エースにつながった。最終セットは再びジャンプサーブを投入し、百戦錬磨のベテランペアにプレッシャーをかけ続けた。敗れた田中は「佳穂の精神的な強さにやられた。まさかあの場面からエース2本とは…」と脱帽し、メンタルの成長を指摘した。

 これまで5位タイが最高成績だったペアが初めてベスト4に進み、一気に頂点まで駆け上がった。ただ、今大会はランキング上位のペアが海外遠征などで欠場し、鈴木、坂口組が第1シード。この日の2試合は大事なところでスパイクやレシーブのミスで失点を重ねた。「この大会は勝たなければと思っていました。今日は内容が悪かったので、これからはもっとしっかり練習して、常に上位に入れるようにしたい」という坂口に、鈴木も「リズムを大事に、もっともっと上へ行きたい」と言葉を合わせた。

 ビーチのアイドル的存在から急成長を続ける坂口の戦いを、“初代妖精”の浅尾美和(32)も見届けた。「浅尾さんはいつ見てもエンゼル。私もプレーでも、かわいさでも一番になれるように頑張りま~す」。坂口はちゃめっ気たっぷりに優勝インタビューを締めくくった。【小堀泰男】

 ◆坂口佳穂(さかぐち・かほ)1996年(平8)3月25日、宮崎県串間市生まれ。小・中学校ではバレーボール部、高校ではタレント活動をしながらダンス部に所属した。14年、武蔵野大入学と同時に川崎ビーチスポーツクラブビーチアカデミーに入校し、ビーチバレーを始める。15年に公式戦デビュー。ビーチバレー界の美人選手として「ポスト浅尾美和」「新ビーチの妖精」などの愛称を持つ。家族構成は両親、双子の弟と3人の弟。172センチ、60キロ。血液型A。