東地区1位の秋田ノーザンハピネッツが、ワイルドカードの熊本ヴォルターズ(西地区2位)に99-65で連勝し、最短わずか1年でB1昇格を決めた。昨年5月14日、同じホームで迎えたB1残留入れ替え戦を、横浜にブザービーターで敗れてから364日目に訪れた歓喜の瞬間だった。この日はB2リーグ最多記録となる4909人の入場を記録。熱狂ピンクブースターも、昇格を後押しした。

 ピンク一色に染まった会場が、試合終了のブザーと同時に最高潮に達した。待ち望んでいた、最短1年でのB1復帰。大歓声の中で選手たちは拳を突き上げて抱き合い、喜びを爆発させた。就任1年目で第1の公約を果たしたペップHC(49)は「チームを支えてくれたブースターのおかげ。会場の小さいお子さんが大人になっても思い出になる試合になったと思う」とあいさつした。

 1年の集大成ともいえる試合内容だった。前日12日の第1戦で前半14点リードされた苦戦を反省。「迷ってプレーするのはやめよう」と確認し合ったチームは開始1分半過ぎ、田口成浩主将(28)の勝ち越しシュートから1度もリードを許さず点差を広げ、34点差で逃げ切った。激しいディフェンスから攻撃にリズムをつける試合運びに、ペップHCは「自分たちがやってきたことを象徴するいい試合」と合格点を与えた。

 身長201センチの谷口大智(28)が8本中6本の3点シュートを決め、両チーム最多の22得点を挙げてMVPに輝いた。昨年の残留入れ替え戦では、悔いを残したと振り返る男は「迷わずに打てる時は打とうと1本1本集中して打った。大事な試合で結果を残せてうれしい」と自信を取り戻した。

 まだ戦いは終わらない。ペップHCの就任時の公約は「1年でB1に上がってB2で優勝して来季はB1で優勝する」。B2優勝をかけた20、21日のファイナル(決勝)の相手は西地区1位の福岡に決まった。今季レギュラーシーズンは敵地で1勝1敗。第1戦でリーグ記録の22連勝達成も、第2戦で連勝を阻まれた相手だ。ホームで迎え撃つペップHCは「メンタルがカギ。ぶれない気持ちがキーポイントになる」とリーグ完全制覇に向け、堅守速攻にさらなる磨きをかける。【佐々木雄高】