第一人者の野口啓代(29=TEAM au)が決勝4課題のうち3完登し優勝した。自身3度目となる3連勝とし、W杯通算21勝目。女子ボルダリングW杯歴代最多の22勝に王手をかけた。昨年準優勝の屈辱を晴らした。

 準決勝まで一撃(1度目の試技で完登(かんとう)すること)し、迎えた決勝の舞台。最終第4課題、今季から待機所でも現在の順位が表示されるようになり、「ここで完登しないと優勝できない」と集中を高めて課題に臨んだ。1手1手、丁寧に確実にホールド(突起物)をつかんでいく。トップホールドにゆっくりと右手をかけると、何度も壁をたたいてガッツポーズ。まさに会心の一撃だった。競技を終えると、野口は目に涙を浮かべて「信じられない」と喜びをかみしめた。

 決勝の第2課題では、2度完登に失敗。野口は会場をあおり、大声援を力に変えて3度目のトライで完登した。「(あおりは)自然と出た。このままでは登れないと思ったので、後ろから後押しをもらって気持ちも盛り上がった。あの第2課題を登れなかったら優勝はなかった」。

 東京五輪(オリンピック)は野口にとって「新しい目標であり夢」という。2年後の姿をイメージし、「東京五輪では、日本の大観衆の前で緊張感があると思う。今回こうして東京で優勝できてよかった。3種目ともボルダリングと同じくらい安定した選手になりたい」と自信をつけて前進する。