アジア大会金メダルの高橋侑子(27=富士通)が、初の日本一に輝いた。昨年1月から米サンディエゴの多国籍チーム「ザ・トライアスロン・スコッド」で練習を積む高橋は、同い年のライバル佐藤優香(26)らをランで引き離し、1時間59分50秒でゴール。本場仕込みの実力で優勝し、20年東京オリンピック(五輪)へ弾みをつけた。男子は22歳の北條巧(日体大)が初優勝した。

ランの3周目、第1集団4人の中から高橋が飛びだした。「周りはきつそうだったけれど、自分は余裕があった」。誰も追いつけないスパートで差を広げ、独走でゴール。過去4回2位の大会での初優勝に「やっと勝てた。素直にうれしい」と笑顔で話した。

昨年1月、単身渡米して欧米から世界のトップ選手が集まるチームにアジア人として初めて加わった。15人の練習は密度が濃く、トップ選手から学ぶことは多い。「競技力だけでなく、精神面も変わった。タフになりました」と話す。

米国に拠点を置くマラソンの大迫傑と同じような環境。「同い年だし、シカゴマラソンは刺激になりました」と、7日の日本記録突破を喜んだ。東京・桐朋女子中時代は陸上部で活躍。都の選抜合宿で一緒になったこともある。「あの頃から、すっごく速かった。むこうは覚えていないと思いますけど」と笑った。

チームメートとルームシェアする米国の拠点から、世界中を飛び回る。帰国は試合の時ぐらい。それでも「楽しいです」と言う。16年リオデジャネイロ五輪出場を逃した高橋にとって、日本一は通過点。「世界はまだまだ。高橋ならやってくれる、と言われるようになりたい」。2年後、同じお台場で行われる東京五輪に向けて、高橋は「大迫スタイル」で突っ走る。

◆高橋侑子(たかはし・ゆうこ)1991年(平3)8月27日、東京都三鷹市生まれ。東京・桐朋女子中3年の時にトライアスロンを本格的に始め、いきなりジュニアオリンピックに優勝。同高から法大に進み、大学選手権4連覇。16年には世界大学選手権優勝。18年アジア大会個人、混合リレー2冠。165センチ、53キロ。