男子1000メートルは、帯広市出身の山田将矢(22=日大)が1分8秒62の国内最高記録で初優勝を飾った。上位8人が大会新、上位3人が国内最高の“記録ラッシュ”のレースを制した。前日の500メートル3位に続き、めざましい躍進で初のワールドカップ(W杯)代表入りは確実。11月16~18日の地元帯広開催に弾みをつけた。平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)5位の小田卓朗(26=開発計画研究所)は2位。500メートルで優勝した新浜立也(22=高崎健康福祉大)は3位だった。

山田がゴールに飛び込むと、大きなどよめきが起こった。1分8秒62。そこまで国内最高記録を出して暫定1位だった新浜の1分9秒19を0秒57上回った。「あんな歓声は聞いたことがなかった」。観客の反応に乗せられるように、右拳を振り下ろしてガッツポーズを何度も繰り返した。

まれに見る“更新ラッシュ”だった。大会ベストは昨年に小田が出した1分9秒59。山田は最後から2組目で、それまで、ライバルが次々と塗り替えていた。異例の状況に「刺激になった。やるべきことをやろうと思った」。スタートからしっかり加速すると、ラスト1周は全体トップの26秒89で駆け抜けた。終わってみれば上位8人が大会新、上位3人が国内新。「1分8秒台を目指していたんですが…、良かったです」と、大きく掲げた目標が現実となり、自身も驚きの初Vだった。

地元での体力づくりが生きた。今年から強化選手としてナショナルチームに入り、夏場の帯広合宿は実家から通った。ある日は自転車を4時間連続、必死でこぎ続けた。本来自信のあった後半のスタミナをさらに強化した。前日の500メートル3位。さらに1000メートルで表彰台の真ん中に立ち、年内に行われるW杯前半戦の代表入りを手中に収めた。

レース後、報道陣に囲まれていると、女子1000メートルで大会新を記録した高木美帆(24=日体大助手)から「私のタイムが遅く感じちゃうよ」と背中をたたかれ、笑顔を見せた。平昌五輪で活躍した先輩も同じ十勝出身。11月に開催されるW杯帯広大会に向け「感謝の気持ちをパフォーマンスで見せたい。表彰台を狙いたい」。男子短距離界の新星が、世界に飛び立つ。【西塚祐司】

◆山田将矢(やまだ・まさや)1996年(平8)7月3日、帯広市生まれ。小学4年からスケートを始め、帯広緑園中3年で全国中学500メートル、1000メートルの2冠。池田高2年で高校総体500メートル優勝。日大に進学し、2年時に全日本学生スプリントで総合優勝。趣味は小学3年から中学3年まで続けたサッカー。血液型AB。176センチ、71キロ。