トロロッソ・ホンダはピエール・ガスリーが最後尾グリッドからスタートして10位入賞を果たしたが、14位スタートのブレンドン・ハートリーは14位に終わった。

ハートリーは1セットしかない新型空力パーツを装着しマシンの仕上がりは好調。しかしスタート直後の1コーナーでタイヤをロックさせてしまい、タイヤを傷めてピットイン。これによって1回余分にタイヤ交換を強いられることとなり、本来の実力を結果に結びつけることができなかった。

「スーパーソフトタイヤでのスタートだったから、周囲のウルトラソフト勢に比べるとグリップ的に不利で厳しくて、ターン1でフロントをロックさせてフラットスポットを作ってしまったんだ。当初は1ストップ作戦で行くつもりだったけど、1周目にピットインすることになって2ストップにならざるを得なかった。ペース自体は良かったし、その1周目のトラブルがなければ十分にトップ10でフィニッシュできたはずだっただけに残念だよ」

それでもタイヤをうまく保たせて入賞圏に近い位置で争っていたが、39周目にエステバン・オコン(フォースインディア)と接触してマシンに大きなダメージを負った上に5秒加算ペナルティーペナルティーを取られ、14位に終わった。

一方ガスリーはレース序盤のVSC(バーチャルセーフティーカー。全車が低速走行する)のタイミングでピットインして前走車がいない状態で本来のペースを発揮。他車がピットインするまでにタイムを稼いで順位を上げた。

「最後尾からのスタートだったから、ポイントが獲れたのはとてもハッピーだよ。後方からのスタートでトップ10まで挽回するのはそう簡単なことではないからね。いろんな戦略の可能性がある中でタイヤマネジメントも大変だったし、全力を尽くしてとても長いレースだったよ。落ち着いてレースを戦ってポイントが獲れたのは本当に良かったし、スペック2エンジンと旧型空力仕様でこれだけの結果を出せたのはとても喜ぶべきことだと思うよ」

しかしチームとして獲れたはずのポイントを獲りきれなかったことも事実。旧型のスペック2パワーユニットで戦うことや、ガスリーが残り2戦に向けて新品を投入し最後尾からスタートしなければならなかったこと、そしてトラクション不足で加速が鈍くなかなかオーバーテイクができず実力を発揮しきれなかったことにホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは表情を曇らせた。

「スーパーソフトの性能低下が小さいがために、我々が新品に換えた際のアドバンテージが思っていたよりも小さかった。それに加えてドライバーたちはトラクションが良くなくて最終コーナーでスロットルを踏みだせる位置が全然違うって言ってました。だから立ち上がりでバンと行かれて離されてしまって、ストレートでDRSを使っても追い付き切れないという状態だったようです。その弱さがあるために、追い込んでいって抜くところまで行かなかった。全体として負けていたのでこの結果になってしまったということです」

次戦ブラジルGPでは2台ともに最新型のスペック3改良型パワーユニットを使用し、新型空力パーツも2台分用意される見込み。コンストラクターズランキング8位を争うザウバーに3点差で逆転されてしまったため、残り2戦では本来の速さを結果に結びつけるべく戦う。

(米家峰起通信員)